積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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family romance2

 5日(月)のコミティアに持ち込む新刊の版下が完成しました。
 例のリストア企画のプロローグに当たる本で22頁の無料配布本です。
 
 明日はスーパーコミックシティ参加のサークルさんにご挨拶に行ったり、製本したりであまり時間が取れなさそうなので、今日の内に連載小説を掲載します。

義忠『彼女の戰い』第10回:まえがき

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 特装版 [DVD]

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 通常版 [DVD]

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NEON GENESIS EVANGELION vol.05 [DVD]

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■義忠『彼女の戰い』第0〜2回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080316#1205650198
■義忠『彼女の戰い』第0回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080316#1205650199
■義忠『彼女の戰い』第1回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080316#1205650200
■義忠『彼女の戰い』第2回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080316#1205650201
■義忠『彼女の戰い』第3回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080323#1206270012
■義忠『彼女の戰い』第3回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080323#1206270013
■義忠『彼女の戰い』第4回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080330#1206838984
■義忠『彼女の戰い』第4回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080330#1206838985
■義忠『彼女の戰い』第5〜6回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080406#1207464825
■義忠『彼女の戰い』第5回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080406#1207464826
■義忠『彼女の戰い』第6回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080406#1207464827
■義忠『彼女の戰い』第7回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080413#1208067375
■義忠『彼女の戰い』第7回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080413#1208067376
■義忠『彼女の戰い』第8回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080420#1208667184
■義忠『彼女の戰い』第8回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080420#1208667185
■義忠『彼女の戰い』第9回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080427#1209256465
■義忠『彼女の戰い』第9回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20080427#1209256466

 はい、そんなわけで『彼女の戰い』の連載、第8週目です。
 今回は予告どおり「クラッキング編」のクライマックスです。

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義忠『彼女の戰い』第10回

Scene 10

 日本への出発を控え、アタシは実母(はは)の墓参りの旅行を申請し、許可された。
 申請の文書は当然あの男の目にも触れたはずだったが、特に一言もなかった。勿論、こっちも初めから期待なぞしていなかったから、失望もなかった。ケルン行きの列車にはひとりで乗った。警護の人間も乗っていたはずだが、彼等はアタシと無理に親しくなる気はないらしく、雪原を走る車内の道中は気楽な一人旅を楽しめた。
 幼い頃に訪れたきりの母の墓前に花を添えたあとは、実母の実家で祖母の歓待を受けた。アタシの身体に流れる日本人の血の源となった人だ。プロシア軍人の血を引き、自身もドイツ国防軍の将軍だったという祖父は、セカンドインパクト直後のポーランドでロシア軍――というより、実態は旧ソ連圏の国々から南下してきた武装難民の大群だったようだが――との戦闘で戦死しており、それからはひとりで暮らしているのだと話してくれた。
 一人娘を奪われた老女の意識としては当然であったろうが、心尽くしの料理を前に彼女が孫娘に語った話題は、幼い頃の実母の可憐さとあの男への偏った憎悪の表明に終始した。あぁ、なるほど。彼女は過去の世界の住人なのだな、とアタシは理解した。
 その夜は実母の部屋に泊まった。そこは実母が娘時代を過ごした部屋で、あの男から祖母が引き取った実母の私物もここに収められていた。
 その中に、何冊かのアルバムもあった。

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