積読日記

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連載小説最終回

 先週ここで書いたコンセプト・ノートですが、一応、編集サイドに提出。某クローズドな場所にて関係者向けに公開されました。
 今後はこれをベースに設定やプロットを更に煮詰めてゆくことになります。
 
 一応、GWに一日30枚ペースで執筆する予定なんですが……しかし、これ本当に原稿用紙300枚くらいで収まるかな(^_^A。
 まぁ、最終締め切りは6月だというので、最悪それまでに脱稿すればいいんですけど。
 次はロケハンと資料集めかぁ……。
 
 で、今週で『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』も最終回です。
 使えそうな隠し玉もないので、来週から夏くらいまでは新作の準備状況の報告中心になりそうですね。

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第13〜15回:まえがき

 
 連載最終回。
 
「恋愛小説」を書いているつもりだったんですが、何だか辻説法みたいな話になってきてしまいました……orz
 それでも、ラストは頑張ってイチャラブ的な展開にしてみましたが、いかがでしょうか。
 ……まぁ、この後、『花嫁強奪』で書いたように、この二人は悲劇的な別れを迎えることになるんですが。
 
 このお話を書く以前から、物語における「ハッピーエンド」って、別に「王子様とお姫様は幸せに暮らしました。めでたし、めでたし」じゃなくてもいいんじゃないか、と思っていました。
 人生って長く生きてればいろいろあるし、最後に悲劇で終わったからと言って、それまでの過程での喜びや幸福に意味がなかったかというとそんなことはないと思うし。
 いや、でも『ハチクロ』の落ちは、つくづく酷い話だよなと感じましたけども(でも好き)。
 そんなわけで、このお話は二人が結ばれたもっとも幸せな瞬間で物語が閉じられます。
 だから「ハッピーエンド」です。
 文句は言わせません。
 
 とはいえ、「フェリア王女の物語」としては、まだ終わった感じはしません。
 なので、もう1作くらい書くことになりそうです。
 そもそも『花嫁強奪』のあの描写ではカオ皇子が「本当に死んだのか」ははっきりしませんし……。
 いやぁ、こんな物騒なキャリア積んだ男が、そう簡単に死ぬかというと──さて、どうなのでしょうね(ニヤリ)。
 
 しばらく別の作品にかかりきりになる予定なので、フェリア王女の続きの物語に取り組むのはまだまだ先になりそうですが、のんびり気長にお待ちいただけると幸いです。
 
 では、また次回作で。

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第13回

0-13

 
 違う! 違う! 違う!
 そんなことはない。絶対に、そんなことはない──そう言ってやりたいのに、そう言って叫びたいのに、咽が張り付いて声が出ない。暗闇が肩にのしかかって押し潰されそうだ。
 その重圧を何とか跳ね退けて、フェリアは別の問いを口にした。
「……チャオ殿下は、何でそんなことを?」
「皇族と貴族の生存闘争(サバイバル)のためです。
 三〇年前の宮廷革命、いや、それ以前から、軍と皇室は血で血を洗う凄惨な抗争を歴史の裏側で繰り返してきた。互いに動きを止めれば、即座に足元をすくわれ、喉笛に噛み付かれる。そんな関係を続けてきてるんです」
「だからって──!」
「さっきも言ったでしょう。辺境領経営は軍の利権構造の大きな柱だ、と。特に〈同盟〉との戦争が激化して以来、よりいっそうの鉱工業生産の増強を求められるようになっている。各地の少数民族自治区で、地元住民を低コストの労働力として酷使し、地下資源やエネルギー資源の採掘が行われている。
 加えて若い男子は徴兵され、西方辺境領での〈同盟〉との戦争や他の自治区へ治安維持の兵力として送り込まれている。若年労働力を奪われた少数民族の村落共同体が、急速に痩(やせ)衰え、荒廃してゆくことを承知でね。
 軍は各地の自治区から、人と資源を凄まじい勢いで収奪し、それを対外戦争という博打に突っ込んで、〈帝国〉国内に対して『祖国防衛』の担い手という揺るぎない地位を手にする──それを、中原(ハートランド)での権勢の源泉としているんです」
「………………」

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義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第14回

0-14

 
「……何を言ってるんです? 貴女と結婚して、〈王国〉の力を背景にチャオ殿下や軍と対抗しろとでも? バカバカしい! そんなもの、あいつらにとっては何の意味も──」
「違います!」
 フェリアはカオの両腕を掴んだ。
「どうして判って下さらないんですか? 私の実家がどこかなんか、どうでもいいじゃないですか。目の前にいる私を見てください。私がここにいるのに、どうしてちゃんと見てくれないんですか?」
「貴女は……何を……?」
 当惑の色を隠さず、カオが訊ねる。
 だが、フェリアはそこに微かな突破口を見つけていた。

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義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第14回

0-15

 
 その夜、私たちは星空の下で、いつまでも語り合い、時に肌を重ねて暖もりを確かめあった。
 夜が明ければ現実が襲い掛かってくる。
 私たちのささやかな誓いも、大きな世界のうねりの下では、荒れ狂う濁流に浮かぶ木の葉ほどの役にも立ちはしない。きっともみくちゃにされ、私たちの意志も踏みにじられてしまうだろう。
 けれど、そんなことは百も承知で、これからの私たちはこの夜の誓いを立てた。
 それはこの誓いが、重ねた肌の暖もりの記憶が、互いの鼓動の大きさが、私たちを支えてくれると信じたからだ。
 世界がどれほど深い闇に覆われていようと、どれほど凍てついた冷たい霧に覆われていようと、この誓いがあれば私たちはうまくやってゆける。
 時に道に迷い、時に暗闇の深さに、その重みに耐え切れず、膝を屈することがあっても、この夜の想い出がある限り、私たちは何度でも立ち上がることができる。
 満天の星空の下で、数千光年の闇を貫いて降り注ぐ星々の光の下で誓い合った私たちなら、きっと。
 そう信じて、私たちはその夜を過ごした。
 やがて明けるその夜の終わりを、待ちながら。
 
〈fin〉