『インファナル・アフェアII 無間序曲』
開設早々、ろくな告知もしてないブログの記事なんて誰も読んでなかろうと、いい加減な文章を書いたら速攻で突込みが入ってしまいました。とほほ。
ご指摘どうもありがとうございました>headofgarciaさん。
確かに『L.A.コンフィデンシャル』の監督はカーティス・ハンソンで、マーチン・スコセッシは『タクシードライバー』の監督。
まぁ、『タクシードライバー』もアメリカン・ノワールの魁と言えなくもないですが、ちょっと論旨に無理があるか。
ちなみに下の本に、映画『L.A.コンフィデンシャル』の撮影現場を訪れ、すっかりカーティス・ハンソンに惚れ込んでしまったエルロイのレポートが載っています。
- 作者: ジェイムズエルロイ,James Ellroy,田村義進
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
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あぁ、この本も持ってるし、それ以前にこのレポートが本邦初出となった雑誌『GQ』のその号だってリアルタイムで買ってるのに、何で間違えたんだろ?
しかも、思い返してみると、この数年ずっとマーチン・スコセッシが監督したと思い込んでた節も……orz
それはさておき。
「ノワール」的なものは、おそらく世界各国でドメスティックな形でそれぞれ存在しているのだと思います。
三国志や史記を紐解くまでもなく、中国文学と陰謀謀略の入り乱れたノワール的な世界観は切っても切り離せないものだし、『インファナル・アフェア』、特に『II』の雰囲気はアメリカン・ノワールと言うよりも、往年のアラン・ドロン辺りが主役を務めそうなフレンチのそれですよね。また、韓流映画の勢いに明らかに敵愾心を燃やしている香港映画界のことだから、コリアン・ノワールの世界観も強く意識している筈です。
ただここで僕が、エルロイ>馳星周>『インファナル・アフェア』のラインを指摘したのは、「ノワールがビジネスになる(=現代社会で普遍性を持つ)」というインパクトの系譜という意味で、その流れが再び西海岸に環流するという現象のおもしろさにありました。
実際には最新作『アメリカン・デス・トリップ』のエルロイは、今の馳星周の目指そうとしてる方向性とはまったく別の方へと向いているし、予告や事前情報を見る限り『インファナル・アフェア』の第三部が描こうとしている世界はエルロイとも馳星周とも異なるものとなるでしょう。
しかし現代社会に生きるある種の人々にとって、「ノワール」が間違いなく癒しとなっていること。それが映画産業として、ビジネス的にペイするだけの「層」をなしていること。それが、少なくとも西海岸からアジアにかけての広範な地域で広がっているという状況は、ちょっといろいろなことを想起させてくれて興味深いものがあります。
とりあえず『インファナル・アフェア』については『III』を観に行った後で、もう一度、きちんと総括しなくてはと思っています。はい。