『週刊少年サンデー』36号
総評
今週末より劇場公開ということで、表紙巻頭カラーは『金色のガッシュ!!』。付録にメカバルカンのペーパーフィギュア。一瞬、真剣に作りたいと思ってしまった私は35歳独身サラリーマン……orz。
あ、後、今週は『結界師』がお休みですね。
常時連載作品の3分の1が休載している『マガジン』と比べると、『サンデー』連載陣はよくやってます。編集のマネジメントがいいというのもあるんでしょうけど。
雷句誠『金色のガッシュ!!』
「さすがゼオン! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ! そこにシビれる!あこがれるゥ! 」
ってなわけで、見事な悪役っぷりです、ゼオン様。
リオウの小悪党ぶりを鼻で笑い、弱者を踏みにじるのにひとかけらの憐憫も見せない。そして平然と余人には想像も付かない巨悪を為す。
「悪」とはこうでなくては。
それやこれやで相変わらずのアッパー指向とはいえ、これで作品の収束点も見えてきたかな。
逆に言うと、このファウード編でそのまま終わってしまいそうな可能性も出てきちゃいましたけど。
畑健二郎『ハヤテのごとく!』
「かつて執事は、貴族の長男しかなる事を許されなかった高貴な仕事だった」
……などと、トリビア的な教養も身につく今回。
かねがね執事って、元グルカ兵とか、ナチスドイツの実験施設に空挺降下して殲滅させる糸使いでなければなれない職業だと思ってましたが、なるほど、やっぱり超必殺技ぐらいは必要な職業だったのか。<偏った認識。
それはさておき、前回今回とで今後のストーリー展開の基本軸として、「ダメご主人様更正もの」という概念が出てきました。
既存の作品にはなかった、画期的というか、恐るべき目の付け所です。
畑クンの若き才能には、まさに戦慄する他ないわけなんですが──いやぁ、ナギに関しては何やってもあのまんまのような気が(爆)。
椎名高志『絶対可憐チルドレン』
もしかして、掲載誌の看板作品に喧嘩売ってますか?(爆)
しかし、今回のエピソードは、並みの作家なら2話に分けてもおかしくないボリュームなのに、さすがベテランの構成力は違いますな。
西森博之『道士郎でござる』
士(もののふ)は己を知るもののために死す。
早乙女愛(本名:前田勇)は男子(おのこ)でござるぞ。
で、関連していろいろ語りたいこともあるんですが、長くなりそうなので後日、追記の形で。
藤木俊『こわしや我聞』
今回はこの作品の良さも悪さも一気に出てしまった回という印象。
「良さ」という面では、そりゃぁもう読者が待ち望んでいた通りのお約束な展開で「落ちる」桃子タン(俺的脳内CV:斉藤千和)なわけで、その申し分のない完成度に親指を立てて「Good Job!」と作者に示してやりたいほど。
で、「悪い」面はというと、敵の攻撃は一本調子だし、本エピソードの性格上、我聞もそれを受け留めるだけだしとアクションの駆け引きが存在しないものだから、「バトル漫画」の山場にしてはさっぱり「燃え」ない点。
つまり「萌え」はあるけど「燃え」がない。
まぁ、連載作品なのだから、「今回は「萌え」の山場で、次回こそ「燃え」る大バトルだ!」っていう構成もありなのだけど……う〜む。
実はここにこの作品──というか、この作者の性格がはっきりと出ていて、お話が非常に予定調和的なんだよね。キャラ話で読者にとって待ち望んでいたようなキャラやエピソードを実に手際よく、魅力的に展開してくれるので安心して楽しめる一方、予想外のドキドキが少なく、バトルを描かせると手数がまだまだたりないものだから、「バトル漫画」としてはどうしても喰いたりなさが残ってしまう。
いや、まぁ、『DETH NOTE』みたいに、いきなり主人公のライバルキャラを殺せとか言うつもりもないし、目先の意外性だけの『MAR』なんかよりはるかにましだとは思うけれども。
この辺の問題を何かのきっかけで突き抜けてくれると、一気に大化けする可能性はあるのだけど……。