積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

■Twitter               ■Twilog

■小説を読もう!           ■BOOTH:物語工房
 
各種印刷・製本・CDプレス POPLS

著者:ビングウェスト/訳者:竹熊誠『ファルージャ 栄光なき死闘―アメリカ軍兵士たちの20カ月』

ファルージャ 栄光なき死闘―アメリカ軍兵士たちの20カ月

ファルージャ 栄光なき死闘―アメリカ軍兵士たちの20カ月

 今年の1月に出て、前から気になってたのだけど、なんとなく勢いで購入。
 ……だから、読む暇どう作るんだよ(爆)。
 
 そうは言いつつ、ちょろちょろ読み始めてます。
 ご存じない方のために簡単に説明しておくと、「ファルージャ」というのはイラクの都市の名前で、イラク戦争後、「ゲリラ活動の拠点となった」として米陸軍と海兵隊による制圧作戦が2度に渡って実施され、凄まじい市街戦の後、文字通り瓦礫と化した街の名前。日本人旅行者3名が誘拐されて話題になったのも、この街の近くのことです。
 今のところ、政情不穏なイラクの最前線でゲリラを討伐しつつ、地元住民との融和に苦慮する米陸軍第505パラシュート歩兵連隊第一大隊指揮官であるドリンクワイン中佐の悪戦苦闘する日々の下りまで。
 まんま、日中戦争当時の日本陸軍の話といっても通りそう。
 結局、こうした状況に対する処方箋は、ゲリラを叩きつつ地道な現地融和(ハーツ&マインド)作戦を時間を掛けて実施してゆくしかなく、それは米軍自体よく判っているのだけど、政治がその時間を我慢できないんだよね。
 そのくせ自分たちが命じた結果を見て、すぐに腰が引けるのも政治だったりするのだけど。
 結果、ご存知のとおりのわやくちゃ状況に至る、と。
 
 この本はあくまで米軍側から書いた本なので、いろいろ割り引いて読んでやる必要はあるのだけど、少なくとも「ファルージャの戦い」から1年ほどでこれだけの情報量と冷静な分析を伴ったノンフィクションを上梓してしまう辺りに、アメリカン・ジャーナリズムの底力を感じずにはいられませんな。

 ちなみに、「ファルージャの戦い」について、ややアラブ寄りのレポートとしてこんなものもあります。
 まぁ、このレポートはこのレポートで、陰謀史観色が強すぎる気もしますけど。