積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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『ワールド・インテリジェンス vol.10:特集 巨竜「中国」の虚実』


 まず最初にこの本は密林さんでは扱っていません。
 お近くの書店から取り寄せるか、発行元の通販をご利用ください。

 んで、本題。
 この雑誌は、佐藤優のデビュー以来の「インテリジェンス」ブームに乗っかって『軍事研究』の姉妹誌として創刊された諜報・公安系ゴシップ誌。信憑性は『アサヒ芸能』とどっこいどっこいじゃねえのと個人的には睨んでるのだけど、まぁ、そのレベルでも定期刊行してくれるだけでありがたい。いやぁ、新聞各紙とWEBのベタ記事収集して整理するだけでも結構な手間なので、本業でもない社会人にはやってられません。
 とりあえず、創作者には「ネタの宝庫」というだけで充分。
 
 で、そうは言ってもそこそこ値段は高めだし、行きつけの本屋では入荷数少ないしで、しばらく買ってなかったのだけど、今号は中国系インテリジェンスの特集ということなので購入。実は上で紹介したレストア作品では、革命を経た中国が覇権国家として太陽系に君臨しているという設定なので、中国人のインテリジェンス感を復習しておく必要があるのです。
 とはいえ、あらゆる政府機関になぜか特殊部隊がある米国のように、ナチュラルに諜報・公安活動を行っている節のある中国人に、具体的に分析対象となるような諜報・公安政策の意思決定中枢があるように思えないんだよね。何か地方自治体から共産党中枢まで、互いに空気を読み合いながら勝手にやってるような印象がなくはない。統治(ガバナンス)がなさそうというか。
 いや、まぁ、中国だけでなく、どこの国でも、この業界は誰が意思決定して責任持っているのか、外からはよく判らんものではあるのだけど。
 とりあえず巻頭の中国専門家ふたりの対談でも読んで、勉強しましょう。
 
 あとはまぁ、「赤報隊の謎」とかカビの生えた昭和のネタなんかも載ってるのだけど、面白そうなのが英国で新設された重大組織犯罪局(SOCA)の紹介記事。
 組織犯罪への経済的な封じ込めまで睨んで金融・租税当局からの出向者やデータベースへのアクセス権まで持たせた「英国版FBI」を目指した組織らしいけど、英国冒険小説好きの自分にはよだれが出そうなくらい美味しそうなネタですわ。うへへ。
 これにこの号の別の記事で取り上げられた人身売買ネットワークの話をベースにして、アイルランド紛争ネタ、移民問題なんかを絡めて、所轄署やMI5などとの確執とかをトッピングしてぐつぐつ煮込めば、いい感じの香ばしさが漂ってこね?
 例えば、こんな感じの話なんかどうだろう──
 
 主人公はSOCAのくたびれた中年オヤジのベテラン捜査官(バツイチ、別れた女房の元に思春期の娘あり)。若い美人の犯罪心理分析官(プロファイラー)と組まされて、英国各地で発生する連続医師殺害事件の捜査を押し付けられる。
 遺体に残る拷問の手口から犯人は主人公と因縁のある引退したIRAの老暗殺者かと思われたが、しかしその犯人像と被害者の顔ぶれが一致しない。
 非協力的な所轄警察、情報を出し渋るMI5などと駆け引きしつつ、犯人を追う内に、徐々に被害者が英国全土に根を張る移民の子供ばかりを狙って臓器を奪う人身売買組織の関係者だと判ってくる。
 一方、「組織」もまた自分たちを狙う老暗殺者への反撃をはじめ、そのなりふり構わない手口は一般市民をも捲き込み始める。
 やがて老暗殺者の娘が「組織」にさらわれて殺されていたことが明らかとなり、その復讐の手が英国の貴族社会や政財界の中枢にまで向かおうとするに至り、SOACにも目に見えて圧力が掛かりだす。
 遂に身近な同僚まで「組織」に通じていたことが発覚して孤立無援となった二人だが、それでも警官としての意地と人間としての誇りを掛けて、老暗殺者と「組織」の黒幕へと向けて捜査を続けてゆく。
 そして黒幕の潜むニューハンプシャーの古城で、老暗殺者、「組織」の傭兵部隊、主人公達の三つ巴の最終決戦が幕を開ける。…………。
 
 あと、黙々と至近距離で敵を瞬殺してゆく老暗殺者とか、基本ヘタレ属性なのにしたたかにコネを活用して官僚機構をサバイバルしてゆく主人公とか。あ、美人プロファイラーが実はどじっ娘で熱血漢ってのもいいな。「組織」の正体が、複数の民族系組織犯罪やIRA残党なんかをセル方式で下請けに組み込んだ「闇の複合体(コングロマリット)」だとか。
 うふふふ。いい感じに盛り上がってきましたよ。
 
 で、問題は誰が書くかだよな。<無責任。
 ……いや、だって取材大変そうだし(ヘタレ)。