積読日記

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Cuvie『ドロテア~魔女の鉄鎚~6 (角川コミックス ドラゴンJr. 93-6)』

ドロテア~魔女の鉄鎚~6 (角川コミックス ドラゴンJr. 93-6)

ドロテア~魔女の鉄鎚~6 (角川コミックス ドラゴンJr. 93-6)

 魔女狩りと傭兵(ランツクネヒト)達の跋扈した暗黒の中世ドイツを舞台とした意欲作もこの巻でいよいよ最終巻。
 果たして、ヒロインたちの運命は──!?
 
 本作について言いたいことはあらかた前回のレビューで言い尽くした感があるのだが、まずは難しい題材を最期までまとめ上げたことを言祝ぎたい。
 本来、ライトなオタク系月刊誌であるにも関わらず、こうした重くて硬い作品に挑んだ掲載誌の心意気も讃えたい。
 ……で、ここまででも充分な仕事振りを見せてくれたとは思うのだが、同時にここまでが限界だったかという苦い思いもなくはない。
 まとめ方もきれいにまとめたとは思うが、ちときれい過ぎるきらいがある。
 テーマと枠組みだけを言えば、本来、持っていたであろう深みの底はもっと深くどす黒く、ずしりと重くのしかかるような質量を伴っていた筈なのだが、残念ながらそこまでは辿りつけなかった感がある。
 誰もが罪を犯さねば生きられなかった時代、傷を負うてなお生きねばならなかった時代、キリスト教があれほどまで執拗に「贖罪」による救済に拘らねばならなかったその理由を考えれば、もっと深い地獄がこの先に待ち受けていたであろうことは想像に難くない。
 のだが、掲載誌のカラーとこの絵柄では、ここまでが限界であったろうことも判る。この絵柄の軽さが取っ付き易さにも繋がっていたのも事実なので、一概に悪いとも言い切れないのだが、描線から情念が漂ってくるような三浦健太郎辺りの濃い絵柄と比べると、ここから先の地獄絵図を描くにはやはり力不足な印象はある。
 元々、成年向けの美少女コミックの描き手なだけに、ヒロインの描き方は確かに魅力的だったのだけど、このテーマを深化させてゆくならむしろ原作に廻った方がいい気もする。
 重ねて言うが、作者も編集も充分な仕事振りを見せてくれたように思う。
 しかしここで終えるのは少し惜しい作品であったのも事実だ。
 次回作に大きく期待する。