『消えた声が、その名を呼ぶ』@角川シネマ有楽町(16/1/6(wed)鑑賞)
『消えた声が、その名を呼ぶ』予告 12月26日(土)公開 角川シネマ有楽町 YEBIS GARDEN CINEMA ほか
『消えた声が、その名を呼ぶ』観終わりました。トルコ系ドイツ人監督による、第一次世界大戦下でのアルメニア人虐殺を背景とした、父親による娘探しの旅。その旅を通して、近現代史におけるアルメニア人の受難をその身に刻み込む旅の映画と言うか。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:第一次世界大戦下のオスマン帝国。ハサミ職人の親方で、双子の娘の父親でもあるアルメニア人のナザレットは、ある日、官憲によって連行されて強制労働を強いられ、最後には他の労働者ともども処刑されそうになる。#fr16_n
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『消えた声が、その名を呼ぶ』:喉を掻き切られ、声を失ったものの生き延びたナザレットは、荒地を彷徨し、アルメニア人難民の地獄のような受難をその目で見届けながら、シリアにたどり着く。そこで生活を立て直しつつあったナザレットだったが、そこでかつての弟子と再会する。#fr16_n
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『消えた声が、その名を呼ぶ』:その弟子の口から、双子の娘が生きていることを知ったナザレットは、娘たちを探して再び旅立つことに。だがそれは、何年にも渡り、遠く北米まで続く、長い長い旅路の始まりだった……というお話。#fr16_n
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『消えた声が、その名を呼ぶ』:いや、もう、この主人公が「お父さん」という以外に取り立てて特別な能力も魅力もない凡人で、むしゃくしゃすればやつ当たりもするし、生き延びるために同胞を見捨てるし、盗みもする。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:それと同時に、敗戦でシリアを追われるトルコ人に自分たち一家の境遇を重ねて落ち込んだり、目の前でレイプされそうになった女性を助けようとしてボコボコにされたりする。臆病で小心者で、でも正義感がないわけじゃない。#fr16_n
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『消えた声が、その名を呼ぶ』:そうした、ただの小市民である主人公が、ただ「お父さん」であるというだけで、長い長い旅に出る。そしてそれは、世界中に離散したアルメニア人コミュニティを訪ね歩く旅でもある。過酷な旅であればこそ、人の情けが身に染みる。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:声を失った主人公が黙々と、黙々と歩く。ただそのことが、何よりも激しい慟哭として胸を衝く。それがまた、いく先々で、その手をすり抜けるように入れ違いで娘に逢えない。そこで聞かされる次の目的地がまた遠くてね。そのたびに絶望的になる絶妙さ。#fr16_n
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『消えた声が、その名を呼ぶ』:行っても会えないかもしれない、取り返しのつかない悲劇を目の当たりにすることになるかもしれない。それでも、それでも諦めない。この辺が父親の強さなのか、妄執なのか。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:特に自分がいない間に、自分がどうしてやることもできない時に、自分が愛する人たちに不幸があったと、人伝てに聞かされるのって、キツイよな。そういう切ない話が、淡々粛々と積み重ねられる旅でもある。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:この映画は100年前のお話ではあるのだけど、物語の舞台にシリアが含まれていることからも示唆されるように、決して過去の物語ではない。こうしている今も、娘を探す「お父さん」が、同じ場所を彷徨しているかもしれない。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:昨夜、途中で寝落ちしてしまったので、もうちょっと続き。この映画の監督は、トルコ系ドイツ人で、自らの民族にとって恥ともいうべき惨劇を描いた映画です。トルコ人自身がどう思うか知らないけど、しかし他民族から観て決して自虐の映画ではない。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:アルメニア人を弾圧するトルコ人だけど、主人公の処刑を躊躇って救うのもトルコ人だし、彼の旅を手助けするトルコ人もいる。シリアから石もて追われるトルコ人に、自分たちの境遇を重ねて、憎みきれない場面もある。悲劇を客観的に捉えようとしている。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:話の焦点を「娘を探す父親の話」に絞っていることで、時代や国境を越える普遍性と強度を持つことに繋がっている。特に今まさに多くの難民を生みつつある同じ土地で語られる物語であることで、現代の悲劇をも照射する。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 6, 2016
『消えた声が、その名を呼ぶ』:この映画は、ただのひとりの父親が歩き続けることによって、近現代史をその身に刻み込み、そのこと自体が現代の悲劇性をも告発する。シンプルで、力強く、スケールの大きな映画でした。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) January 7, 2016