『顔役』@ラピュタ阿佐ヶ谷(16/5/15(sun)鑑賞)
本日の映画2本目『顔役』@ラピュタ阿佐ヶ谷に劇場入りしました。1965年公開。鶴田浩二、高倉健主演の石井輝男監督。東映の暗黒街もので、落ちが大量虐殺というアレらしいです(^_^;; #fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』観終わりました。……大量虐殺にならなかったorz<何を期待しとるか。それはともかく、任侠道と近代ヤクザ合理主義に股裂きになる鶴田浩二といういつものアレなんだけど、捻れ過ぎて、よく判らない論理というか、美学に辿り着いてしまったお話。まぁ、変な映画は好きだけど。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:関東のヤクザ統一団体の最高幹部会の決定により、大規模産業用地開発事業への関西進出を阻止すべく、大幹部の中神(鶴田浩二)以下、若手の早見(高倉健)を始めとする幹部達が現地に送り込まれる。中神は地元の旧友を介して、さっそく埋立地の事業権を握る漁労長に接触する。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:筋を通すことを重んじる中神は、漁労長と地道な交渉を重ねるが、じれた早見が市長を脅して、無理やり工事を受注させてしまう。だが、牧場用地のはずの埋立地の土に、道路用の土が使われていることが発覚し、中神は面目を失い、指を詰める。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:調べて見ると、中神達の知らぬ間に、組織上層部により土のすり替えが指示されていたのだ。農地として使えない土地を移住する漁民に渡し、農業が失敗したところを、住宅用地として安く買い叩く計画だったのだ。中神の抗議は受け入れられず、退けられる。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:一方、中神不在の現地では、関西と内通していた部下により、関西側との抗争の火蓋が切られる。更に、関西から東京に送り込まれた殺し屋によって、組織トップが暗殺され、状況は一気に混沌とし始めた……というお話。いや、問題はここから先の展開なんですけどね(^_^;; #fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:利害だけ動く近代ヤクザと、筋を通すこと(規範秩序)を重視する任侠道(鶴田浩二)と、自分の内面的正義を重視する若者(高倉健)の抗争というのは、テーマとして悪くないのだけど、そのままやっちゃうと決着つかずに「物語」として破綻すると途中で気づいたんだと思う。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:結局、この映画では、何百人もの東西組織の兵隊が見守る中、兄貴分の鶴田浩二が、組織の論理から逸脱した高倉健を泣く泣く射殺し、それを持って東西の親分衆は筋を通したと矛を収める。……国定忠治か(爆 ここでは、鶴田浩二的な規範秩序が、最終的に世界を支配してるのね。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:政治的、あるいは軍事的抗争がある閾値を越えると、規範秩序を持ち出して収束しようとするのは、判るんですよ。最終戦争(アルマゲドン)をやって共倒れしたくない時に、身内を納得させるための言い訳に使えるから。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:ただこの映画では、それが機能するに至るメカニズムを描くわけでもなく(まぁ、元からそういう政治科学の映画でもない)、鶴田浩二の情緒にドライブして唐突に規範秩序が世界を支配して結末に雪崩れ込む。その情緒に乗れないと「何じゃこりゃ」となってしまう。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:そんな訳で、やっぱり「変な映画」ではあると思うんだけどね。ただ、こんな映画を撮ってしまう当時の東映は、鶴田浩二的懊悩の落とし所を、何本も映画を撮って確認してるとも言える。同時にそれは、当時の日本人自身の懊悩だったのかもしれない。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:ただ、この鶴田浩二的懊悩を、日本人が延々、後の世代まで引っ張り続けたかと言うと、別にそんなこともなく、次の時代には次の時代なりの問題に日本人は悩みだす。この問題は解決したのか、次の問題でそれどころじゃなくなったのか……。その境目は、どこだろう? #fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日
『顔役』:バランスを崩した「変」な映画ほど、実は雄弁に何かを語ってくれていることがあって、この映画ではそれは何だろうと考えながら、この映画を観ていました。そんな映画でした。#fr16_n
— 義忠@夏コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月15日