『ドローン・オブ・ウォー』@TOHOシネマズ六本木(15/10/1(thu)鑑賞)
本日の映画『ドローン・オブ・ウォー』@TOHOシネマズ六本木に劇場入りしました。最新の社会事情をすぐに映画化する、ハリウッドお得意の新書ジャーナル映画……かな。まぁ、でも、なかなか娯楽にしづらいテーマではあるので、どう料理してくれるのか楽しみ。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』観終わりました。観てて怒りや悲しみ、恐怖を覚える戦争映画は数あれど、こんなに胸糞悪さを覚える戦争映画は初めてです。それはこの映画の出来が悪いからではなく、米国が現在進行形で遂行する「ドローン戦争」が、ヒトの素朴な倫理感を侵食する戦争だからなのでしょう。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:元戦闘機パイロットのトミーは、今は無人機パイロットとして、砂漠の真ん中にある基地の敷地内にずらりと並べられた遠隔操縦コンテナから地球の裏側のテロリストを空対地ミサイルで吹き飛ばし、勤務時間後は妻とふたりの娘の待つマイホームに帰る毎日を過ごす。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:昼はモニター越しにテロリストを空爆。帰宅してマイホーム・パパとして家族と接し、朝になれば、基地に出勤して空爆。たまに民間人を巻き込んでしまって落ち込んで、家庭の存在に慰められて立ち直って、また操縦桿を握る。そんな「日常」が続く。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:やがてトミーの部隊は空軍の正規任務から切り離され、CIAの暗殺任務に組み込まれる。顔も名前も知らないCIA担当官からの音声回線越しの指令に従い、空爆を行うのだ。それに伴いROE(交戦規則)も変わり、標的の選定も「怪しそうだ」というだけで攻撃可能となる。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:交戦対象でもない国に勝手に入り込んで空爆する任務。テロリストの暗殺を優先して、民間人を捲き込む攻撃も頓着しない。更に空爆後に救援に人が集まってきた人々に向けて次の空爆をする。空爆の犠牲者の葬儀で親族が集まるのを待って、空爆する。……。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:そこにテロリストの関係者が混じってる「かもしれない」から。たとえそこに集まっていた人々のほとんどがテロと無関係であったとしても、米本土の市民生活の「安全」を守るという大義の前には、些事に過ぎない。……どこか倒錯した「大義」に基づき任務は続く。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:日々の任務の中で、ゆっくりと魂を病んでゆくトミー。「本物の戦場」に再びパイロットとして復帰する日を夢見ながら、日々の任務に精神をすり減らし、酒量が増え、家庭も荒れてゆく。やがてトミーはCIAの任務中に、とっさに「ささやかな抵抗」を行ってしまう。……。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:何というか、どんな戦争であっても、兵士が「戦争」──更にぶっちゃけてしまえば、「殺人」を受け入れるには、それに相応しい「物語(ストーリー)」が必要で、それを地球の裏側でエアコンの効いた安全なコンテナから成立させるってのは、かなり無理があるんだよね。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:一応、「彼はテロリストです」とか上から、あるいはCIAから指定されるのだけど、それが正しい情報なのかどうか、現場の兵士に判断する術などない。勿論、軍人である以上、信じるしかないのだけど、かすかな疑念が胸の裡をよぎるのまでは、阻止できない。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:加えて、任務の範囲はゆるゆると融通無下に拡張され、標的の選定はどんどん雑になる。正しい情報を得て、正しい標的のみを殺すのはコストと手間がかかるのだ。それに聞いたこともない国の住民に、米国の選挙権なぞない。……いや、そうなんだけどさ。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:ちょっと混乱してきたので整理をすると、1) 視覚的な「殺人」を体験しつつ、安全な後方で「戦争」を遂行するのは、任務を正当化する「大義(ストーリー)」の構築が難しい。その重要なファクターである、自身や戦友の「生命の危機」が成立しづらいためである。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:逆に言うと、「前線の友軍部隊を上空から警戒・護衛する任務」などに従事している時は明らかにストレスが低下しているように見え、任務に対する使命感も向上してたりする。身も蓋もない話だが、兵士の精神衛生上、兵士の生命を適度に危険に晒す必要があるのかもしれない。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:2) 対国家ではない、テロリストのような非国家組織(NGO)との戦い──非対称戦にあって、現場の法規範は崩れやすい。相手は無法者(アウトロー)なのだから仕方ない、とも言えなくもないのだが、問題はそれが前線の将兵の規律や統制にも影響を及ぼしてしまう点だ。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:ここから更に派生する問題として、後方の政府や市民の掌握外で、勝手に戦線が拡大して収拾がつかなくなってしまう点。それと前線の任務がルールやマニュアルから逸脱してしまうことによって、兵士の規律や任務の精度ががた落ちして、事故などが起きやすくなる。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:戦闘などの高ストレート下にあって、兵士が迷うことなく速やかに行動できるようにROE(交戦法規)があるのだ。それを破ったり無視してもいいとなれば、兵士が取り得る選択肢が増え、とっさに行動できなくなる。戦場での判断の責任を兵士個人に負わせないためでもある。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日
『ドローン・オブ・ウォー』:結局、騎士道とか武士道なんかも、別に美学なんかじゃなくて、前線の戦士の戦闘員としてのメンタルを維持・保護するためのメソッド集みたいなものだったんじゃないかな、と。当事者にとっては、割と切実なものですよ。そして現代では、テクノロジーがそれを侵食する。
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2015年10月1日