『喜劇 大安旅行』@東京国立近代美術館フィルムセンター(16/5/29(sun)鑑賞)
本日の映画2本目『喜劇 大安旅行』@東京国立近代美術館フィルムセンターに劇場入りしました。1968年公開。フランキー堺、伴淳三郎主演って、さっき観てきた映画の続きかよ(^_^;; #fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月29日
『喜劇 大安旅行』観終わりました。第1次ベビーブーマー世代が一斉に結婚し始めたので、日本全国新婚さんブームに突入し、新婚さん専用列車とか編成されてた時代の映画。ちょうどウチの両親とかが新婚旅行に行った時期ですわ。当然、全編、結婚ネタ(^_^;; #fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月29日
『喜劇 大安旅行』:大阪天王寺駅発の国鉄南紀鉄道の専務車掌の並木大作(フランキー堺)は、SL機関士の父親・甚吾(伴淳三郎)に続く親子二代の国鉄マン。今日も今日とて、車掌の業務に加えて新婚さんのケンカの仲裁までこなす多忙な日々だ。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:周囲から独り身を心配される大作だったが、実は馴染みの弁当屋の娘雪子が気になっている。何かとアプローチをかけるが、母親のうめにブロック。雪子をデートに誘えば、一緒についてくる始末だ。これは先に母親を片付けるべきと、うめと独身の甚吾の結婚を画策する。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:一方、甚吾は甚吾で、娘の雪子の方に気があって、勝手に勘違いして浮かれ上がる。さらに近所に住む水上バスのガイドの晴子も大作に気があって、雪子の存在にもめげずに積極的に押してくるのだが……というお話。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:もう何と言っても、当時の国鉄全面協力だけあって、60年代末の国鉄車両の装備やら、サービスやらアメニティやらがふんだんに描写されてて、オールド鉄オタのみならず、文化人類学で論文書けそうな勢いで詰め込まれたタイムカプセルです。それだけでも価値がある。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:特にこの時代、SLがまだまだ現役で、難関二子山トンネルを重連結の客車を曳いて力任せに突破するシーンは圧巻です。……まぁ、本筋とはあまり関係ないんだけどw これに限らず、個々のエピソードがテーマやメインプロットに必ずしも直結せず、収束してかない。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:先のSLの場面にも意味がないわけでもなくて、「お父さんの仕事が重要で、本人も誇りを持って仕事をしてる」ことを示す重要な場面なのだけど、別にこの映画のテーマがそこにあるわけではないのでw、キャラ立ての手段で終わってしまってる感が。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:この辺、邦画の喜劇全般の問題なのか、60年代特有の問題なのかわからないけど、全般的にメインプロットが弱くてキャラ描写や小ネタのギャグを重視している印象がある。個別シーンのサブプロットは立ってるんですけどね。やっぱり今の日常系に繋がってるのかなぁ。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:あと、先に観た渥美清の『喜劇 団体列車』(こっちは東映)もそうだったんだけど、どっちも「主人公はボンクラだが仕事はマジメな独身中年男で、好きなマドンナがいて、それとは別に積極的にアプローチしてくる女子はそっけなく扱う」というお話。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:当時の喜劇映画を観にくる客層がそのものずばりだったのか、そこから入ると多層な客層(ロマンス色が強ければ、女性客も楽しめる)をフォローしやすかったのか。ただ、この映画の場合、主人公はストリップ劇場でステージかぶりつきとかやってるけど(爆 #fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:そこは監督の瀬川昌治が、ストリップ小屋カルチャー好きってのもあるんだろうけどw、主人公の男性性をここで補強しとかないと、「善い人」過ぎて生身の人間感が薄くなっちゃうとでも思ったのか。今やったら、女性客ドン引きですけどね。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:で、このエピソードも別にメインプロットには絡まず(別のサブプロットにはちょっと絡む)、全体構成はもうちょっとブラッシュアップが必要だった印象が。何か、勿体無い。まぁ、個々のサブプロットは楽しいし、役者の芝居も上手いから、それなりに観れちゃうけど。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:あと、これもよく判わからないのが、「マドンナとは結ばれない」落ちで、しかもネタ振りなしで唐突に終盤で提示される。この映画に至っては新婚さん満載の専用列車上で「結婚相手としては見れないけど、お兄ちゃんにはなって欲しい」という衝撃の展開に(爆 #fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:時代が早すぎた! ……ではなくて、「結婚(性欲/生活)」と「純愛(恋愛感情/観念的理想)」が乖離して物語的自我が分裂してるってことなのかな、と。この問題は、半世紀後の現代まで、ずっと尾を曳いてる気がする。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:(理由はよく判らないまま)主人公のことが好きなサブヒロインは別にいるので、そこで振られても、主人公の男性性まで全否定されるわけではない。この辺はむしろ少女マンガに出てくる、一途にヒロインのことを想い続けるが報われない当て馬男子と構造が一緒ですね。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:いや、これね、どういうことかというと、プロットがこなれてもっと成熟した作品だと、そうした欲望はストーリーにうまく馴染ませて、観客にそれと気づかせずに昇華するんですよ。でも、作りが粗いと、プロットが歪んで露骨にそれが見えちゃう。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:いわゆるプログラム・ピクチャーには、制作に掛けられる時間と予算の都合で、そこまで神経が廻ってない作品が多い。あるいは、当時の観客の物語リテラシーが、それで満足する程度だったのか。その両方かな。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:いずれにせよ、ヒットに寄与しない要素と見られたから、そこにリソースが投じられなかったのだろうし。その代わり、こうした歪な構造のプログラム・ピクチャーにこそ、その時代の欲望の在り処が判りやすく見えてくる。そう言った意味でも、勉強になる映画でした。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日
『喜劇 大安旅行』:60年代末の観光地の美しい風景や、観光行政とかも垣間見えて、真面目にその方面の勉強されている向きには、学術的価値も高いコンテンツとなっています。興味のある方は、機会を設けて、是非。#fr16_n
— 義忠@冬コミ申込中「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年5月30日