『野獣死すべし 復讐のメカニック』@池袋新文芸坐(18/01/17(wed)鑑賞)
Kunihiko Murai - Round Midnight - Rhapsody in Blue 映画「野獣死すべし - 復讐のメカニック」より
本日の映画『野獣死すべし 復讐のメカニック』@池袋新文芸坐に劇場入りしました。1974年公開。藤岡弘が伊達邦彦を演ずるご存知、大藪春彦の『野獣死すべし 復讐編』の映画化作品。伊達邦彦といえば初代が仲代達矢で、僕らの世代は80年の松田優作の印象が強いけど、さて藤岡弘はどうでしょう。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月17日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』観終わりました。格差社会への怒り…の振りをしてハードボイルドの概念の啓蒙が目的じゃないかという節のある59年の仲代達矢版に対し、怠惰な日常への反発が動機だった80年の松田優作版。それに対して復讐の「悪霊」と化して機械的に突っ走る伊達邦彦でした。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月17日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:まぁ、59年版が「自己規定するハードボイルド映画」という変な映画だったわけだが(好きは好きだが(^^;;)、74年のこの頃になると別に「ハードボイルドとはなんぞ?」という定義論はする必要はなく、ただし「動機」は必要なのでそこに「復讐」が入る、と。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月17日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:いや、作り手と観客の本音は「暴力の愉悦」なんだけど、それを直接ぶち撒けるとリテラシーのない(こういうバイオレンス映画に慣れてない)観客は引くので、建前の動機は必要です。観客は、その動機で正当化して、映画の中の暴力を愉しむ。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月17日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:ただこの映画の場合、主人公の暴力がだんだんエスカレートして、関わった人間を片っ端から殺し始めるので(^^;、その辺の観客との暗黙の契約関係が裏切られる。まぁ、主人公の人格は多分変化してなくて、契約関係の欺瞞が観客に突きつけられる形なんだけど。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月17日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:間を措いて、この映画のことをつらつらと振り返っているのだけど、この映画、バイオレンス映画ではあっても、はたしてハードボイルド映画と言えるのか。勿論、原作の大藪春彦が日本のハードボイルド作家の泰斗であることには論を待たないのだけれど。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:大藪春彦作品の読者ならご理解いただけると思うのだけど、ほら、大藪作品には「殺しのPDCAサイクル」ってあるじゃん(命名オレ)。身体鍛えて、ヤクザ殺すかヤクザの情婦犯して情報入手して、銃火器揃えて襲撃計画立てて、ヤクザ殺して金か麻薬奪って(続く)。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:その金で銃火器買って、身体鍛えてヤクザまた襲うって循環サイクル(爆 晩年の作品なんか、延々とそれだけやってる作品もあり(^^;、それは冷徹な現実認知に基づき、過酷な状況に行動(アクション)を積み重ねて対峙するハードボイルドの文学的要請なんだけど。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:そこがこの映画では、あまり触れられてない。物語が始まった時点で、既に標的は定められており、主人公がその情報を集めたり、銃器を揃えたり、襲撃計画を練ったりする描写はない。内面語りも基本ないので、何を考えてるのかもよく判らない。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:一応、主人公の学生時代の競技射撃のライバルで今は記者の黒沢年雄が、主人公の動機となる悲劇を調べるんだけど、新聞記事の紙面とか中心なので、どうも客観的。主人公自身の恨みつらみトークとか、生前の優しいお父さんの回想シーンなんかはないのです。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:これは作品の欠陥、というよりこの物語における「復讐」は言い訳(エクスキューズ)でしかなく、そこに観客を感情移入させるつもりはない、という作り手の意志でしょう。憎き仇を残酷にぶち殺して愉悦を味わう「復讐譚」ではない。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:作中で英語講師してる主人公が『白鯨』をテキストにしてることから、「悪霊」という言葉を使ってましたね。計画とか準備のプロセスは特に描かれず、この「悪霊」と化した主人公がふらりと現れると、関わった人々が破滅する。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:ラストの銃撃戦なんか、ヤクザの車列に守られた仇のボスをひとりで襲って皆殺しにするんだけど、どういう動線で動いて襲ってるのか、観ててもよく判らないんだよね(^^;; そこのディティールが必要なリアリティ・ドラマではないということか。#fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
『野獣死すべし 復讐のメカニック』:その後の警官隊の包囲網も唐突だし……。なので、この映画はホラーとまで言わないけど、「悪霊」を巡る不条理な観念劇として観るべきなのでしょう。そう捉えると、納得感はあります。……まぁ、それを大藪映画と認めるかには、異論があるでしょうが(^^;; #fr18_n
— 義忠@夏コミ申し込み中 (@yoshitada_n) 2018年1月20日
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