『天気の子』@新宿ピカデリー(19/07/21(sun)鑑賞)
【期間限定・アクセスコード付き】小説 天気の子 (角川文庫)
- 作者: 新海誠
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/07/18
- メディア: Kindle版
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本日の映画1本目『天気の子』@新宿ピカデリーに劇場入りしました。言わずとしれた、新海誠の最新作。監督の内的世界が現実世界に溢れ出して、梅雨が長引いてる説すらある(ウソ)曇天下の鑑賞です。空前のヒット後の新作で、攻めてくるか、守りに走るか。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』観終わりました。前作の大ヒットが決してフロック(まぐれ)ではなく、きっちり精度と密度を増して、さらにその先まで踏み込んできた作品。娯楽映画の監督として、作家性と時代性が見事に拮抗する、演出家としてのゴールデンアワーに突入している事を証明する作品でもありました。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:公開3日目でネタバレはできないので(^^;;、モチーフ的な話から入ると、今回、これまでの新海作品であまり触れてこなかった「ダメな大人」「小汚い東京」「下流の生活描写」が前面に来ていて、現実を鮮やかに上書きするスーパーリアリティだけの作家でないと証明したのが特徴。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:『言の葉の庭』のユキちゃん先生も「ダメな大人」やん、という意見もありましょうが(^^;;、今回は子供にタカるとか、都合が悪くなるなると主人公追い出すとか、大概なクズっぷり。勿論それだけでもないのがミソだけど(^^;、こういうキャラはこれまでの新海作品ではなかったかな。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:この延長線上の描写として、東京(都会)が寄る辺ない子どもたちの居場所を簡単に奪ってゆく場所であるとの冷徹な描写が積み重ねられ、中盤からクライマックスまではほぼそれでストーリーが駆動すると言っていいです。まあ大人が大人としてやりそうな振舞いしているだけですが。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:同様に、家出少年の主人公も、両親を喪って小学生の弟と暮らすヒロインの暮らしは当然のように貧しいわけなのだけど、「貧しさの中で工夫する豊かさ」とか、逆に「ジャンクフードで大喜びする貧しさ」とか、『万引き家族』『ギャングース』に通づる視線をしっかり入れてくる。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:こういう社会から不可視化された領域の人々の暮らしにフォーカスするのは、先に挙げた邦画タイトルだけでなく、世界の映画界のひとつのトレンドでもあって、それにちゃんとキャッチアップしてフォローしているのは、邦画アニメ監督というより国際映画人としてのセンスでしょう。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:そうは言っても、スマホやらタブレットやら、情報機器を使いこなしてるわけで、そこは本物のどん底の生活というわけでもないんですが、まあそれを言い出すとお話自体が成立しなくなるので(^^;;、メインターゲット層の中高校生に想像可能な範囲で貧困を描いているというか。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:新海作品における「東京」の(美術的な)モチーフはこれまでも色々と描かれて来たのだけど、現実の風俗(バニラ)の宣伝トラックがあのテーマ曲とともに描かれ(!)、酔客のゲロが染みついてそうな歌舞伎町の路地裏が描かれることはなかったわけで、古参ファンには衝撃的でしょう。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:そうした都市描写にせよ、貧困描写にせよ、すごく「2019年の東京」に寄り添おうという意志が全体に満ちていて、この辺もアニメ監督というより映画人としての意識ですよね。先日紹介した『犬 走る DOG RACE(1998)』のように、映画は時間とともに時代の証言者となるわけですから。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:「それだけ寄り添っておいて落ちがアレか」というのは、ほら、その飛躍(ファンタジー)を描くための堅実な現実描写(リアリティ)があるわけで(^^;; いずれにせよ、都市を美しく描くだけでなく、わい雑さやノイズを積極的に取り入れてゆく姿勢は、かなり攻めてて良かったですね。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:その辺引っくるめて別な言い方をすれば、「表現域(ダイナミック・レンジ)が大きく広がった」。前作で娯楽方向に大きく広げてきたレンジを、こういう形でさらに広げてきたというのは、古参のファンほど驚きが深いと思います。自分には喜ばしい驚きでしたが。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:その一方で、これまでの新海誠の持ち味であった、編集や会話のリズム感の良さとか、前作で急激に良くなった構成力とかスケール感が更に良くなったとか、どんな球もスウィート・スポットに入れる演出家として神がかりな領域(ゾーン)に入ってきた感があります。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:まあ、そういうゴールデンアワーが一生続く作家は滅多にいないので、いつまで続くのか……とは思うものの、今は無敵状態で手がつけられないですね(^^;; しばらくは、新作公開のたびにランキング上位に長期居座り、文芸的にも言及せざる得ない時代が続くんじゃないでしょうか。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
『天気の子』:で、まあ、後はこの映画について語るなら、どうしても「落ち」に言及せざる得ないんでしょうけど、公開3日目でそこに踏み込むのもなあ……。どうせこの後、他の劇場でも2〜3回は観ることになると思うので、その辺の話は後日また改めて。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年7月21日
■追記:『天気の子』(極上音響上映)@立川シネマシティ/CINEMA TWO(19/08/04(sun)鑑賞)(2回目)
本日の映画2本目『天気の子』@立川シネマシティ/CINEMA TWOに劇場入りしました。2回目の鑑賞は、立川で極音上映です。いや、どこかの晴れ女のせいか、炎天下の下、自転車漕いで死にそうになりましたが(^^;; 公開から日も経ってるし、さすがにそろそろネタバレありですよね。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月4日
『天気の子』観終わりました。まあもういいかと思うので、ネタバレ全開で言及すると、クライマックスで『海獣の子供』で作品の根幹とも言えるガイア理論的なスーパービジョンにこの映画も主人公は到達するんだけど、あっさりとスルーしてヒロインとの選択の方に向かうのな(^^;; #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月4日
『天気の子』:この映画の核心というか、メッセージの根幹はまさにそこにあって、世界の上部構造だの広がりだの多様性だのバタフライ効果だの、世界は確かにごちゃごちゃと面倒くさいけど、それでも君が選べと。選んだ方向に進め、と。世界なんてそれでいい、という、そういうお話だよね。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月4日
『天気の子』:この映画、クライマックスのあのスーパービジョンにせよ、全編精緻に描写されているだけに、相当にしっかりと世界観が構築されてるはずなんですよね。この場合の「世界観」は「物語中のルール」と言い換えてもいいですが。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:例えば、「巫女は力を使いすぎると消える」というルールは、作中早い段階で提示されてる。ところが、これがこの映画の面白いところなんだけど、このルール提示は、穂高の取材先の占いオババの胡散臭い妄言としてノイズ扱いでさらっと流されるので、初見ではまず見落とす(^^;; #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:こんな調子で「巫女の力」に関する作中のルールは意外と提示されてるんだけど、怪しげで「不確実なもの」としか語られてない。前作『君の名は。』では、三葉の祖母という一定の権威ある存在からルールや来歴が語られたが、今回は胡散臭い都市伝説の類でしかない。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:物語上、発生する現象はこの「都市伝説」と呼応するし、主人公たちも徐々に真に受けるようになるんだけど、最後まで学者や口伝で伝説を継承する古老wとか、権威ある存在に出来事の構造や意味が解き明かされることはない。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:さっきの断片的に語られた都市伝説を整合すると、作り手はそれなりの緻密なルールを構築しているようなのだけど、主人公(と観客)には、それは「不確実なもの」としか語られない。これは、何なのだろう?#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:結論から先に言えば、作中で強い強度でその「ルール」が語られてしまえば、それが「運命」となってしまうからでしょう。精緻堅牢に構築された「ルール」「マニュアル」「手順」では、回避不能の「運命」となって主人公たちは噛み殺されてしまう。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:世界は君の「選択」で、「決断」で、変更可能なのだと。その解釈の余地をねじ込むために、「ルール」の機序や法則性の強度を弱め、不確実性を高めるという恐ろしく面倒くさいことをやってのけてる(^^;; それを踏まえてあのラストですよ。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:これは社会の仕組みや批判が何もかも可視化されている(ように見える)現代社会で、子供たちが「選択」や「決断」をする力を取り戻すにはどうすればいいか、という問いへの新海誠なりの回答なのだと思います。それが、世界をあえて「不確実」に捉える、という方法だと。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:勿論、主人公たちの選択を無邪気に全肯定してやる手もあったんでしょうけど、それはそれで今の時代の「現実認知」ではないから、それでは子供たちに届かない。だから、あのラストなのか、と。なるほどねー。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
『天気の子』:そんなわけで、2回目の鑑賞はそんなことを考えながら観ていたわけですが、さて、この後のIMAXでの3回目の鑑賞では、どんな発見があるのでしょうか(^^) #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年8月12日
■監督フィルモグラフィ:新海誠(1973年~)
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