積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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2010-01-01から1年間の記事一覧

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第13回

0-13 違う! 違う! 違う! そんなことはない。絶対に、そんなことはない──そう言ってやりたいのに、そう言って叫びたいのに、咽が張り付いて声が出ない。暗闇が肩にのしかかって押し潰されそうだ。 その重圧を何とか跳ね退けて、フェリアは別の問いを口にし…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第13〜15回:まえがき

連載最終回。 「恋愛小説」を書いているつもりだったんですが、何だか辻説法みたいな話になってきてしまいました……orz それでも、ラストは頑張ってイチャラブ的な展開にしてみましたが、いかがでしょうか。 ……まぁ、この後、『花嫁強奪』で書いたように、こ…

連載小説最終回

先週ここで書いたコンセプト・ノートですが、一応、編集サイドに提出。某クローズドな場所にて関係者向けに公開されました。 今後はこれをベースに設定やプロットを更に煮詰めてゆくことになります。 一応、GWに一日30枚ペースで執筆する予定なんですが……し…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第12回

0-12 「この辺でいいでしょう」 診療所を出て、松葉杖をつきながら数分ほど歩いた場所にある広場の真ん中で、カオは立ち留って言った。 辺りに人家はなく、言うまでもなく街灯もない。遠くに診療所の灯火(あかり)がぽつんと見えるだけだ。 本当に一切の灯火…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第11回

0-11 カオが入院しているという診療所に到着したのは、既に深夜に近い時間だった。 今にも倒壊しそうなその古びた診療所に駆けこむように足を踏み入れたフェリアは、診療所内に唯一設けられた病室にカオの姿を見つけた。 「やあ、ようやく婚約者(フィアンセ)…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第11&12回:まえがき

連載第6回目。 カオ皇子との再会、そして明かされる真実……というお話。 今回は、第12回分の始めの方で明かされるカオ皇子の正体がキモと言えばキモなんですが。 いや、一応、この作品は「恋愛小説」なんですが、これを読んだ知人から、 「どこの世界にこん…

dystopia

この週末は、次回作のコンセプトノートを作成していました。 あらすじとか、主要登場人物とか、キーワードとなる用語設定とかを取りまとめたもので、Wordで組んでみたらここまでで26頁を越えてしまった……orz。 まぁ、遊び紙で白紙の頁も含んでるし、見やすさ…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第10回

0-10 現地に向かう飛行船に乗るため、最寄りの空軍基地に全速力で向かうリムジンの車内で、フェリアは向かい合って座る中尉の襟章をつけた青年士官に喰ってかかった。 「それで殿下の容体は?」 「申し訳ありませんが、私の口からはお答えできません」 「何…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第9回

0-9 あの日、あの瞬間のカオが浮かべた一瞬の表情に意識を引き戻され、フェリアは表情を強ばらせた。 すべてが幻(まぼろし)と知っているかのような、ひどく老い、枯れ果てた表情。 だが、あの場で何故そんなものが、彼の表情によぎったのか? カオと過ごした…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第9&10回:まえがき

連載第5回目。 テレサとの対話、その後編と旅先で事故に遭ったカオ皇子を追ってフェリアとテレサが辺境地域へ向かうお話。 この辺からお話のトーンが転調するキーポイントとなるエピソードです。 フェリアがカオ皇子への自分の感情に気づき、カオ皇子の事故…

Age 40

そんなわけで、もう間もなく、日付が変われば40歳です。 メンタル面では高校生ぐらいから大して成長できている気がしないんですが、体力だけは年相応になってきているみたいで、ぼちぼち健康にも気を遣わないといけないのかなと思う今日この頃。 とは言いつ…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第8回

0-8 「……何をやってるの、テレサ?」 「何って、お茶を淹れております」 「そうじゃなくて」フェリアは小さく唸りながら、教科書を詰めたバッグをテーブルの上に置いた。 「何で研究室(ここ)にいるのか、って訊いてるの」 その日、授業を終えていつものよう…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第7回

0-7 その日の内に〈帝国〉側、〈王国〉側の関係各方面に、フェリアとカオの婚約成立の知らせが通達された。 ただし、フェリアが自分がまだ学生の身であり、勉学の妨げになると強硬に主張したことによって、マスコミには伏せられたままだ。この辺、〈王国〉側…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第7&8回:まえがき

連載第4回目。 婚約成立後のお話とテレサがフェリアの本当の気持ちを問いに研究室まで訪ねてくるお話。 本当はこの辺りもう少し膨らませて、フェリアがカオ皇子に惹かれてゆく下りを丁寧に描くべきなのだろうと思います。 いや、何度か書こうとはしたんです…

次回作構想中

年頭のエントリにも書きましたが、今年はオリジナルの小説2作品を仕上げるつもりで、当面は夏コミ発表の某アンソロジーに掲載予定の作品を先に書く予定です。「長さはどれだけ長くてもいいよ」という編集サイドからの思し召しなので、原稿用紙200〜300枚ほ…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第6回

0-6 「……で?」 「どうしても嫌なら、別の相手を用意すると」 「はぁ」 「四三歳の第8皇子か、十二歳になったばかりの皇帝のお孫さんのどちらかを選べと言われました」 「それはまた大変ですねぇ」 目の前で大平楽な物言いを口にするカオに、フェリアは鋭く…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第5回

0-5 「いかがでしたか?」 ホテルに戻り、夕食を済ませてふたりっきりになった頃合いを見計らって、テレサが訊ねてきた。 予想通りの質問とタイミングに、フェリアは鏡台の前で髪を梳くブラシをテレサにゆだねながら、あらかじめ想定済みの回答を口にした。 …

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第5&6回:まえがき

連載第3回目。 フェリア王女とカオ皇子の婚約が成立するまでのお話。 で、またしても解説のパートがあるんですけど……。 う〜ん、でも両国関係の事情とかちゃんと書いておかないと、なんで二人が意に沿わない婚約をしなくてはならないのか、よく判らなくなっ…

クッキング・ライフ

毎年この時期から春までは税金の支払いやら、部屋代の更新やら何やらが立て込んで、諸々財政状況が厳しいこともあり、自炊することが増えてます。 と言っても、あんまり手のかかる料理はやれないので、切る、炒める、煮るの大雑把な男の料理ですけど。 カレ…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第4回

0-4 ドアに張り付けられている「法学部第5研究室」の銘の入った木の板が、微妙に傾いている。文字のインクも掠れ気味で、少なくともそこに棲む住人がこういったことに頓着しない性格であることを物語っていて、「婚約者」としては軽い目眩を覚える。 だが、…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第3回

0-3 帝都貴族院大学は、大陸の過半を統べる大国〈帝国〉の首都〈帝都〉の郊外、行政区画的にはその最外縁部に広大なキャンパスを置いている。 元々、帝室所有の猟場として鷹狩などを行っていた場所なだけに、起伏に富んだ地形と鬱蒼と生い茂る森の木々に覆わ…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第3&4回:まえがき

連載第2回目。 フェリア王女がカオ皇子に会いに行くお話。 ……いや、まぁ、それだけっちゃ、それだけなんですが。 さて、今回掲載分の冒頭で、帝都貴族院大学と<帝国>における皇族・貴族の立ち位置についてごちゃっと説明してて、知り合いからはまた例によ…

ぬくぬく

寝るときに電気毛布を使ってるんですが、もうちょっとサイズが大きいのが欲しいと思って家電量販店に行ってきました。 ……しかし、来る度ごとにこの手の家電雑貨って安くなってないか? なんだか、1年前にひと廻り小さなサイズの電気毛布を買ったのより安い…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第2回

0-2 「おはようございます、フェリア王女殿下!」 「……どなた?」 翌朝、ペントハウスのテーブルで朝食を摂っていたフェリアは、目の前に勢い込んで現れた眼鏡の少女に向かって、とっさに率直すぎる疑問を口にしていた。 まるでカウンターをもろに喰らったボ…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第1回

0-1 「婚約者?」 侍女のテレサからその話を聞かされた時、フェリアが発した第一声はそれだった。 「誰の?」 「勿論、姫様の、です」 幼い頃からフェリアのそばに仕えるテレサの態度は、落ち着き払っていた。 「いや、ほら、テレサのって可能性だってあるじ…

義忠『棺のクロエ1.5 0〔lav〕』第1&2回:まえがき

新連載第1回目。 念願の<帝国>への留学を実現した<王国>第1王女フェリアだったが、実はそれは<帝国>皇族との婚約のカモフラージュだった……。 昨年の夏コミにて初出の作品。 『花嫁強奪』の前日譚でフェリア王女とカオ皇子の馴れ初めのお話です。 今…

謹賀新年&新連載

新年、明けましておめでとうございます。 旧年中は休みがちの本ブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。 本年もよろしくお願いいたします。 とは言うものの、今年はちょっと活動方針が変わります。 諸事情あってちょっとまじめに社長業をやら…