積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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『OURS』6月号

 実はまだ全部に目を通していないので、総論レベルの講評を。
 表紙は再アニメ化が発表された『HELLSING』。今月から中綴じから平綴じに移行し、値段も300円台だったこれまでから500円に値上げ。『月刊ウルトラ・ジャンプ』『月刊サンデーGX』といった、ハイエンド・オタク誌*1を明確なライバル誌とする競合圏(コンテスト・エリア)に乗り込んでゆくという姿勢を示したものと見ていいでしょう。
 実はこの辺りのハイエンド・オタク誌マーケットは本来、『OURS』自身が切り拓いたはずなのだけど、いつの間にか脱落してしまっていた。主力となる看板作品がいずれ劣らぬ優れた作品ばかりとはいえ、どれも5年、10年選手ばかりというのは、やはり「ハイエンド」の雑誌とは言いづらいですわな。
 このリニューアルを機に今号では、アニメ化もされた『クロノクルセイド』を堂々完結させたばかりの森山大輔を投入するなど、誌面刷新にかける編集部の意気込みも充分感じられるのだけど……。
 う〜ん、雑誌全体で見るとこの新連載の『ワールドエンブリヨ』の「SF伝記ジュブナイル」って、既存連載の『カムナガラ』『朝霧の巫女』とジャンル的に被ってるのよね。
 そこで次号では、新谷かおるのミリタリー物『RAISE』の投入ですよ。新雑誌の立ち上げ時や売り上げジリ貧の雑誌の建て直しにと請われれば否とはいえない、侠気あふれる新谷師匠であれば、きっと──って、そこまで酷い状況ってことでもあるのか、今の『OURS』はorz。
 ……本当に大丈夫なのかね。

TEXT/小林治・イラスト/ちばぢろう『OURSアニメ生活』vol.24

 本文の方は米国資本の日本アニメへの投資の動きと、逆に空洞化してゆく国内の制作状況への指摘。
 で、ちばぢろうのイラストで「国産アニメの終焉のときとは、中韓などから日本的嗜好に合う作品群が創られるようになったとき」的な言及があるのだけど、もうひとつ終焉の日の状景がある。
 それは日本人の感受性そのものが、国際マーケットのそれと乖離してしまったときだ。
 「萌え」もいいのだけど、変な感性だけで突出せずに、バランスの取れた作品創りを目指すべきだと思うのだけど……。

*1:造語。対語として、角川や富士見、電撃系のメディアミックス系コミック誌をここでは「ローエンド・オタク誌」とする。ともにオタク的嗜好を満たすテーマ、絵柄の作品を取り上げているが、対象読者層としてより高年齢層をターゲットとし、知的な作品傾向を示す。更に突き抜けると『コミック・ビーム』『IKKI』などのアート系へと繋がってゆく。