積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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著者:P・W・シンガー/訳者:山崎淳『戦争請負会社』

戦争請負会社

戦争請負会社

 先頃話題になった日本人傭兵氏の事件で、PMF(民間軍事請負企業)について知るための定本として方々で取り上げられた本。
 実はその事件の前から狙っていたのだけど、さすがにハードカバーでこのお値段ということで、判断に迷っていたのだが、ええい、ままよと勢いで買ってしまった。
 こうしたPMFの台頭は、実は911よりだいぶ以前から、感の良い国際政治学者達の間ではある程度、予見されていたことでもある。ウェストファリア条約成立以来の主権国家という概念が揺らぎ、PMFや国際テロ組織、多国籍企業などに代表されるようなNGO(非政府団体)が国際政治の主要なプレイヤーとなる、「中世」的な世界が現出しようとしているという説を唱える国際政治学者は決して少なくなかったのだ。しかし、よもやこれほどまでに急速に世界の中世化が進むことになろうとは……。
 これが人類にとって「進歩」なのか「退化」なのか、その評価は同時代人たる我々には何とも判断できないが、少なくともこの現実を直視し、どう受け留めるべきかを考える義務はあるのではなかろうか。
 そんなことを考えつつの一冊です。
 ……勿論、現在構想中の小説のネタにならないかという下心もあったりするけれど。