積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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東京国際ブックフェア閉幕!

 ……疲れた。
 
 それで終わるのも何なので、雑感を少し。
 正直、ずっと自社ブース詰めだったので、まともに会場を見て廻る暇はほとんどなかったんですが、電子出版系をざっと眺めた限り、出展企業はそこそこだったものの、新規のデバイスも特になく、コンテンツも過去の作品ばかりで、どうもぱっとしない。
 デバイスについては、まぁ、携帯とかPSPとかDSとかいくらでもあるわけで、その意味で、新規の高精度専用デバイスなんてものは当面、これ以上、必要はないのでいいのだけど、コンテンツと言えば10年1日が如く過去作品の電子化ばかりというこの業界はどうしたものか。既に紙メディアで出版済みの作品なんて、もろデバイス性能の比較対象になってしまうし、そうなれば精度や可搬性で紙に負けるに決まってる。
 電子書籍ビジネスで現状、成功しているのは、
 ①他メディアで読むことの出来ない(先行・独占公開性)
 ②携帯コンテンツである(課金・集金手段の確立)
 この2点を実現しているケースであり、「古いコミックを電子化して大成功」などという都合のいい話は寡聞にして聞いたことがない。
 自分なら、竜騎士07氏なり、奈須きのこ氏なりの他のメディア(それも隣接するゲーム系がベスト)で活躍している作家の作品を、それこそ他のメディアに先駆けてコンテンツ化するくらいの企画を立てるけどな。
 ちなみにまったくネームバリューのない新人作家では、あまり効果はありません。電子書籍というメディア自体の認知度が低いので、火が付くまでに企業としての体力が持たない危険性がある。逆に数年単位で赤字に耐える体力があるなら、新人作家を次々に投入して「当たり」が出るのを待つというのもありですけど。
 あとコミックスについては、既存の作品は紙の誌面を前提とした「映像作品」であるということにいい加減気付いて欲しい。小さくて精度の低い今のデバイス画面に移したら、視覚効果もへったくれもなくなっちゃうでしょ。
 その点からすると、いわゆる「萌え4コマ」ものなんて、最適かも。フレームは(原則)固定だし、ここ最近の4コマ・ブームで作家の層も厚くなってるしね。
 
 ぶっちゃけた話、「電子書籍」なんて、この国では20年以上前から商業ベースに乗って市場は出来てるんですよ。「アドベンチャーゲーム」だとか「ノベルゲーム」という形でね。それらは若い作家予備軍の受け口となり、新しいメディアらしい奔放さと実験精神で、この国のサブカルチャーのシーンに少なからずの影響を与え、今、爛熟の時期を過ぎて市場の縮小(リセッション)まで迎えようとしている。
 けれど「電子書籍業界」を名乗る方々は、決してそのことを認めようとはしないんですな。「書籍」とはもっと高尚なものと考えておられる。
 バカじゃなかろうか、と。
 まぁ、今年も「ここ」からは何も産まれんのだろうな、ってなことを考えながら、各社のブース前を通り過ぎたのでした。