幸村誠『ヴィンランド・サガ』第1巻
- 作者: 幸村誠
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/15
- メディア: コミック
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そのヴァイキングの一団であるアシュラッド兵団に所属する、アイスランド出身の少年トルフィンの成長譚(ビルディングス・ロマン)。
少年誌の世界に打って出た星雲賞受賞の俊英、幸村誠の最新作。前作『プラネテス』は二ヶ月に1回の掲載で、週刊誌の連載なんて務まるのか心配だったが、なかなかどうして、月1休載くらいで立派に続いてます。*1
作品そのものの話としては、ここ最近の少年誌ではあまり見られなくなった骨太の歴史大作で、初手から中世の城攻めを血腥く展開してくれる。かなり徹底して行われたであろう取材の成果が垣間見え、西洋中世史や軍事史のその筋の方々にも満足してもらえるだろう。
その後、3話目でいきなり過去編に突入し、『マガジン』本誌でもまだ過去編のままなのだが、これだけの本格歴史大作にはそのぐらい腰を据えて掛かってくれるくらいがちょうどいい。企画とドラマ性を重視するマガジン編集部の良い面が顕れた作品となりつつある。*2
ちなみにタイトルでもある「ヴィンランド」とは北米大陸のことで、コロンブスより遥かに先行して、ヴァイキングが行き来していたという歴史的事実にちなむ。作中では「人があらゆる支配から解放される約束の地」として描かれ、その一方で「人間はみんな、何かの奴隷だ」とのアシュラッドの虚無的な呟きとの対比に象徴される相克が本作のテーマとなる。
それをストレートに台詞で言わせてしまう辺りが作者の若さと言えなくもないけど、まぁ、少年誌の掲載作品だからね。このくらい判りやすい方が、読者には伝わりやすいでしょう。
まずはこの第1巻、堪能しました。
続きが楽しみ。