積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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light『群青の空を越えて』

群青の空を越えて windows vista対応版

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群青の空を越えて 筑波戦闘航空団詳報 (DNAメディアブックス)

群青の空を越えて 筑波戦闘航空団詳報 (DNAメディアブックス)

 まず注意事項。
 上記タイトルは18禁サイト内への直接リンクなので、対象年齢以下の方はご注意ください。

 えー、さて。
 夏コミでご挨拶に伺った先のひとつに、「LIFE SYSTEM」早狩武志さんがいます。
 この方は現在ゲームメーカーのlightシナリオライターをしている方なのですが、実はかつて佐藤大輔谷甲州森岡浩之、横山信義といった錚々たる面子の揃ったSFアンソロ本でちゃっかり商業デビューしていたという恐るべき作家さんだったりします。
 で、伺った折に「今度また新作を出します」という話になって、「また無茶な話なんだ、これが」と実に嬉しそうに話すので、何かと思って後でlightのサイトを覗きに行ったら、上のタイトル・リンクですよ。
 
 わはは。
 確かにこりゃ無茶だ。つか、エロゲーの企画じゃないよ。
 こんな企画出す方も出す方なら、通す方も通す方だ。<絶賛しています。念のため。
 詳細はサイトの方を見ていただくにしても、概要をざっとまとめてしまうと、関東圏が独立を宣言し内戦下にあるパラレルワールドの日本で、戦闘機パイロットを目指して筑波の航空学校に通う若者達の物語で、戦闘機を中心に実際の兵器が山のように出てくるお話。ちょっとまとめすぎかもしれん。まぁ、やはり詳細はサイトを見ていただくということで。
 この世界観だけ見ると『ガ○パレ』とか、やまむらはじめの『境界戦線―マージナル・バトルライン (サンデーGXコミックス)』辺りのリスペクトかと思われがちだけど、実はそれらの作品が発表されるより遥か以前──それこそ10年くらい昔のものも含めて──に発表された早狩武志さんの何作かの同人小説に繋がるモチーフだったりする。いやはや。クリエイターの創作に掛ける情熱とは、かくも執念深いものでなくてはならないらしい。見習わなくては。
 しかもサイトを見る限り気合が入っているのは早狩さんだけではないらしく、作画にせよ背景にせよ気合充分。制作裏話を読むと航空無線での会話は女性声優にちゃんと英語で喋らせてたりするらしいなど、随所に「本気」の気合が滲み出している。
 ……普通に考えたら、エロゲーには不要な気合のような気もせんではないが(爆)。
 
 ただニトロプラスの処女作『Phantom of Inferno DVD 通常版』は「エロゲー」というより「バイオレンス」が前面に押し出された作品だったし、その看板作家である虚淵玄のあのどす黒く煤けた作品群は、どれも「エロゲー」としては「使えない」作品ばかりでありながら、確実にユーザーの心を掴んで放さない力を持っている。
 同じように18禁の「エロゲー」でありながら、告知サイト上で「エロス」を前面に出さずに戦闘機の記事の方が充実しているなんて本作が市場的に「アリ」か「ナシ」かと言えば、実は「アリ」なのだ。
 いわゆる一般的な「エロゲー」「美少女ゲーム」はそれこそ市場に掃いて捨てるほどあるわけで、その中でユーザーにピックアップしてもらおうと思ったら何かしら「とんがった」部分が必要となる。成熟市場で生き残りを懸けたマーケティングを行えば、必然としてそこに行き着く。本作では、それがミリタリー的な志向であったということなのだろう。
 とは言え、この魅力的なミリタリー性や世界観も実のところフック(引っ掛け)でしかないような気がするな。恐らくは本作の最大の魅力は、ライターである早狩武志さんの作家性が全開となる物語の中にこそ訪れる気がする。未プレイの時点で言うことではないけど、私の知る早狩武志という作家はそういう作家さんです。
 
 まぁ、そんなわけで、来月9月中旬発売という本作のレビュー……というか、応援記事でした。
 本当のレビューは発売後、おいおい。
 ……いや、その前にどうやってプレイ時間作るか、なんだけどな。