積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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『BATTLESTAR GALACTICA』序章「ジェノサイド」

 そんなわけで、一部のSci-Fiドラマ好きの好事家に絶賛されている大宇宙を舞台とした一大エクソダス・ドラマ『BATTLESTAR GALACTICA』を今週から1話づつご紹介。
 第一回の今日は、序章「ジェノサイド」です。
 ただし、この序章については3年ほど前に単独でリリースされたものを一度レビューしているので、今回は2度観してみての感想を。
 
 いやぁ、もう本当、何度観ても泣ける泣ける。
 ダメコンを任された副艦長が100名の兵員を見捨てる隔壁閉鎖を命じた後、「あそこに居たのは新兵ばかりでした」と部下に抗議され「戦場に新兵などいない」と苦く言い放つ場面とか、敵襲を受けた避難船団がジャンプ可能船だけで脱出をはかり、残された非ジャンプ可能船から「地獄に落ちろ!」と罵声を浴びながら戦場を離脱する場面とか、全編号泣ものですよ。
 そういった部分とは別に、敗戦経験がない米国人がこういったドラマを創って観るようになったというのは興味深い時代だなという感慨もある。
 まぁ、911を例に出すまでもなく、真珠湾攻撃とか、局地的な敗北はちょくちょくやっているわけだし、旧約聖書出エジプト記とかもあるので、欧米人のメンタリティの底にあるものと通づる部分はあるのかもしれない。
 あとはやっぱり、アニメでも最近は珍しい宇宙艦隊ものですからねぇ。*1
スタートレック』も宇宙戦艦ものだけど、あれはどちらかというと軍隊の組織的戦闘というより艦長以下のメインクルーが活躍が目立つお話創りで、先の方には軍法会議のエピソードまである本作とはアプローチが異なる。「軍隊」を社会組織のひとつとして捉えて描こうとしているというか。
 ちなみに製作総指揮のロナルド・D・ムーアって、大学で政治学をやった後、米海軍に入ったというキャリアの持ち主だとか。どうりで、軍の文民統制とか組織論的な話がプロットの根幹に関わってくるわけだ。こういう人材がコンテンツ産業に積極的に入ってくるというのが、米国コンテンツ産業の強みだよね。
 その点、日本だと、『銀英伝』のような一部の例外もあるものの、アニメでもどうしても若者向けに企画が立てられるし、実写ではそもそもこんな企画が誰も口にすらしないしで、いぶし銀の親父達も存分に活躍する宇宙艦隊ものなんて絶対にやってくれそうにないわけで、せっかくのこの米国産Sci-Fiドラマをしっかり楽しませてもらいましょう。

*1:今期は『マクロスF』とかあるけど。