谷川史子『草の上星の下 (クイーンズコミックス)』

草の上星の下 (クイーンズコミックス)

　古巣の集英社を離れて初めて青年誌で出した『くらしのいずみ (ヤングキングコミックス)』で勘所を掴んだのか、本作はいずれも結婚していたり結婚間近だったり、同棲していたりするカップルを中心としたお話。
　もっとも、そうしたしっとりと落ち着いた関係を軸にしながら、必ずしもそれ自体がテーマと言うわけではなく、時に周囲の人々との関係性や外部からの視点など、世界への眼差しがより奥行きを増してきている感がある。
　巻末の「春が来たなら」のような、嫁入り前の父と娘の人情小話みたいな話を手堅く描けるようになったというのは、少女マンガ時代から知る読者としては感慨深いなぁ……。