『マクロスFRONTIER』全25話
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こちらも時代を代表する作品に成り得たとは思うものの、「男の子(アルト)」の心性の問題としては思ったより詰め切れず、むしろその点では「女の子(シェリル&ランカ)」の方が魅力的に描けていたような印象がある。
結局、何も選べずにみんな抱え込むという結論は、「男の子」の「願望」ではあっても「現実」ではないんだよな。そりゃあ、誰だって両脇にきれいな女の子抱えて、「みんな俺のもんだ」って言いてぇよ(爆)。
まぁ、「女の子」の視点からすると、所詮他人事だから、全部抱えてきっちり廻せるだけのパワーのある男の子に憧れるのはよく判るので、女子の人気が高いのは理解できるんですけどね。でも、無理だから、ふつー。結局、背中から文化包丁とかで刺されますから。たぶん。
その辺の「男の子」の切実な課題の本質には、リーチできなかった感がある。いや、勿論、文化包丁か刺し身包丁かという問題ではなく、「願望」をどう「現実」に落としこんで、主体性を持った「幸せ」につなげてゆくかという命題の意味で。
父親の存在とか、ミシェルの死とか、死を覚悟しておままごとみたいな日常にすがるシェリルとの関係性とか、深堀すれば面白そうな要素はいくらでもあったので、こっちもせめてあと1クール欲しかった。
とはいえ、単純にエンターテイメントとして観る分には、ケチのつけようのない完成度だったのも事実。
特に終盤のラストバトルに雪崩込む展開は、もう細かい伏線なんかどうでもよくなるくらい素晴らしく、このレベルの作品をTVで観れるというのも凄い時代になったものだと思う。
しかも最後までまったく作画が崩れないんだもんな。2年目に突入する『しゅごキャラ!』も併せて、サテライトがここまで制作力をつけてくるとは思わなんだ。
……いや、代わりに『HELLSING』の制作からは降りちゃったけどね。
でも、映像と音楽のシンクロというか、作品への統合度という点で、日本の映像シーンでのエポックメイキングとなる作品にはなれたと思う。
後は劇場版でどう来るかだよなぁ。テーマ的な問題がどう料理されるにせよ、いい劇場のハイレベルの音響システムでシェリルやランカの歌が流れるのかと思うと、今から楽しみでならないぞ。