積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第7回:まえがき

■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第1&2回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090609#1244559898
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第1回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090609#1244559899
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第2回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090609#1244559900
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第3回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090614#1244952601
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第3回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090614#1244952602
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第4回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090621#1245560162
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第4回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090621#1245560163
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第5&6回:まえがき
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090628#1246167065
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第5回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090628#1246167066
■義忠『棺のクロエ1.5 花嫁強奪』第6回:本編
http://d.hatena.ne.jp/Yoshitada/20090628#1246167067
 
 連載第5回目。
 少佐vs第1山岳混成小隊の激突編、後篇です。
 
 で、一応、自分から突っ込みを入れておきますけど、<帝国>の軍人さんが皆、少佐みたいにバカみたいな戦闘力を持っているかというと、当然そんなわけはありません。
 単に少佐が異能過ぎるだけです。
 いくらプロの軍人だからって、そうそう山地を駆け廻って何十人もの兵隊と戦車を相手に大立ち廻りを繰り広げられるわけではありません。しかも、相手だってプロの「軍人」ではなくても、「国境警備隊員」としてはプロだし精鋭部隊なんですから。
 
 そもそも<帝国>陸軍参謀本部特務第6課という組織自体が、何百万人もいる<帝国>軍人の中から、戦闘能力、実戦経験、作戦指揮能力に長け、なおかつ秘密工作作戦に適した柔軟な価値観・思考の持ち主をピックアップして集めた少数精鋭のエージェント達とその支援要員によって構成されている特別な組織です。
 母数がそれだけでかければ、そりゃあ、多少はこんな化け物みたいなのも混じってくるよね、という範囲で、作中世界でも少佐は非常識な存在なのです。
 従って、この物語はフィクションであり、良い子は決して真似しないでください(まぁ、普通に暮らしていれば、そうそう山中で国境警備隊員の一箇小隊に追い駆け廻されることもないでしょうが)。
 
 もうちょっと真面目に突っ込むと、この物語の中では、この少佐の異能さを「戦争」の象徴として扱っています。情緒を完全に削ぎ落とした「近代合理性」のある種の極致で、倫理による行動の抑制が完全に吹っ飛んでいる。
 だからこうやって短時間に何十人も殺戮して、少佐の精神は何ひとつ揺らいでいません。
 それを本作では、「正しい」こととも「悪い」こととも言い切るつもりはありません。
 ただ、「そういう存在がこの世には在る」というだけなのですが、その「戦争」という存在に接して、フェリアが何を感じるのか、というのが本作のテーマと言えばテーマでしょうか。
 まぁ、でも読者が読みたいように読んでもらっていいんですけどね。
 
 次回は少佐の「戦争」を目の当たりにしたフェリアの決意のお話です。
 乞うご期待。