『大正野球娘。』全12話
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大正時代の女学生が野球部を設立し、男子野球部に挑戦するというお話。
原作はライトノベルで未読。
元気な女の子がいっぱい出てきて絵的に華やかというものあるのだろうけど、昨今の女子野球ブームなんかも反映してるのかな。
現代から見ると「戦前の一部」と一括りにされてしまいがちなのだが、実は「大正時代」は、維新から日露戦争までで括られる「明治」や戦争に傾斜してゆく「昭和」と比べて、社会が安定し、穏やかでリベラルな気風の時代だったとされる。
シベリア出兵(1918〜1922)など戦争がまったくなかったわけではないのだが、この出兵にも世論は批判的で、特にワシントン海軍軍縮会議(1921〜1922)の前後など、軍人が制服で街中を歩きづらかったなどという逸話も残っている。
給与生活者──「サラリーマン」が成立したのはこの大正末期から昭和初期で、自動的に「専業主婦」の成立もこの頃の話。
大正7年(1918)に立憲政友会による初の本格政党内閣の成立、大正14年(1925)にはいわゆる普通選挙法が成立し、以後の政友会、民政党による二大政党制の確立した時代でもある。その後、昭和に入ってこの政党政治が機能不全に陥り、軍部の台頭を招く経緯まで踏まえて振り返ると、今日の政治情勢にもいろいろと示唆を与えてくれる時代でもある。
総じて言えば、最終的に失敗してしまったとはいえ、戦後の「日本型民主主義」の雛型を形成した時代であったともいえる。戦後、GHQによる民主化を日本人がさほど抵抗なく受け入れることができたのは、この「大正デモクラシー」の空気を知る大人達がいたからだろう。
原作を読んでないので、このお話が具体的に大正何年頃をイメージしているのか不明だが、これはそんな時代の物語。
当然、その後の歴史を考えると、ヒロイン達はいずれ大人になってそれぞれの立場で時代と向き合うことになり、あるいは東京大空襲や子供の出征なんかも経験することになったのだろうか。
いやまぁ、そんなことまで考える必要はまったくないのだが。
あれ、ここまでまったく内容の評価に触れてないな。
え〜っと、「大正」で「野球」で「娘」という着眼点の素晴らしさを除けば、アニメ作品としておそろしく手堅く創られているので、老若男女を問わず幅広く楽しめる作品に仕上がっている。もっとも、本来この作品が受けそうな層って、深夜アニメの視聴者層とはずれてる気もするのだが。
しかしこの作品を観てて思ったのだが、高齢者の視聴者も視野に入れつつ、若者も楽しめるようなコンテンツというのは有り得るのかもなぁ。