NHK総合『トップランナー』「小説家・道尾秀介」
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/05
- メディア: 単行本
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いや、この作家さんの作品は一作も読んでないし、たぶん今後も読むことはないんじゃないかと思うんですが、ただ番組MCからの「誰のために書いてるんですか?」という問いに「自分のため」と明快に答えていたのが印象に残りました。
これは別に「それで生活しているから」という話ではなく、前後の文脈からいって「(読者である)自分を喜ばせるために書いている」ということなのだと思います。
この作家さんによれば「他人がその作品を読んでどう評価しているかなんて本当のところは判らない。そんな考えても判らないことにくよくよするより、『その作品を欲する自分』を真摯に見つめてそこにアジャストして書いた方が、むしろ普遍的な価値のある作品につながる」とのことでした。
これはアマチュアの同人作家でしかない自分にも良く判るし、非常に共感する感覚です。
かねがね周囲の友人なんかにも話していることですが、自分の場合、まず自分の書いた作品はいつだって傑作で、読んでもらえれば面白いと思って本を作っています。少なくとも「この話、つまんないなぁ」と自分で感じた作品は本にはしません。
このブログとか、イベント会場とかで自分の作品をアピールするのも、「この面白さを皆で分かち合おうよ!」というサービス精神によるものです。なんか、こう書くと変な宗教みたいですが。
読んでもらえなかったり、否定的な評価をもらったり、アクセスの記録は確かに1,000件越えてるのに1件も感想もらえなかったり(泣笑)、イベント出たら行きより帰りの方が荷物多くなったり(在庫+買った本)、まぁ、いろいろ凹むことはありますが、でも自分の作品が面白いことは誰よりもまず自分が知っているのでへこたれたりしません。
そりゃまぁ、「本当はもっと面白く書けるはずなのに、うまくいかなかったなぁ」ってので落ち込むことはありますけどね。
ただ、こうしたメンタリティってのは、実は作家仲間の間では少数派のようで、皆さん、打たれ弱い。
読者やお客さんの反応がなかったり、否定的な感想をもらったりすると、落ち込んで書けなくなっちゃう。どうも自分の全人格を否定されたり、作品の存在意義やなんかをへし折られてしまうみたいです。
それだけ自分の作品に深く思い入れをしているということなのだと思いますけど、それだったらその分、自分の作品を信じてあげればいいのにと思うんですけどね。
世界中が敵に廻っても、せめて生みの親くらいは自分の子供の存在意義くらい全肯定してあげるべきだと思うのだけど、今時はいろんな評価軸があるから、そこに振り廻されちゃうこともあるんでしょう。
逆にその意味で、感想や批評なんかをする際には、なるべくその作品の存在意義自体は肯定した上で、演出などのテクニカルな面で問題点を指摘するようにしています。
その子(作品)がこの世に存在すること自体は、誰にも否定さるべきではないのだから……。
いや、まぁ、それでも本当に全力で否定したい邪悪な作品ってたまにありますけどね(汗)。現代人のメンタリティとして、この思想や価値観肯定しちゃまずいでしょうって奴が。自分も大概ぎりぎりな話ばかり書いてるので、人のこと言えませんけど。
そんなわけで、「自分の話は絶対面白いので、手にとってさえもらえればきっと楽しんでもらえる」という相変わらずな思い込み(思い上がり?)を持って来週の夏コミに参加します。
でも、感想なんかもらえれば、やっぱり嬉しいですし、それはどの作家さんも同じ。
自分も忙しくて、中々、感想のメールとかコメントなんかつけられないタイプなので、読み専門でコメントつけない読者の気持ちも良く判るんですが、それで落ち込む作家さんもいます。
画面越しのコメントが難しくても、その作家さんがイベント会場で実際に本を売ってる姿を見れば、どこにでも普通のお兄さん、お姉さんだってことが判るはずです。*1
「面白かったですよ」の一言だけでも、その作家さんが次回作に挑むための意欲につながります。
来週のコミケや月末のコミティアなんかのイベントは、好きな作家さんとじかに会って話したり、新しい作家さんや作品と出会える場でもあります。
季節が季節ですので、暑さ対策とか注意が必要ですけど、初めての方も是非、会場に足を運んでみてください。
きっと素敵な出会いがあることでしょう。
では、イベント会場でお待ちしています。
P.S.`
あ、小説のコメントもお待ちしてます。
いや、本当、これだけ読まれて、なんでコメントひとつつかないんだ?
作品傾向的に感想書きづらいんかなぁ……(とほほ)。
*1:一部、そうじゃない作家さんもいるけどw