『修道士は沈黙する』@Bunkamira ル・シネマ(18/03/20(tue)鑑賞)
本日の映画『修道士は沈黙する』@Bunkamira ル・シネマに劇場入りしました。国際金融政策を左右するG8財務相会議の背後で発生した殺人事件と、そこに捲き込まれた修道士を巡るイタリア映画だそうで。こういうハイレベルの国際政治の話を抜け抜けとやる度胸が邦画にはなかなかないよねぇ。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月20日
『修道士は沈黙する』観終わりました。国際金融政策の最前線の葛藤とキリスト教的倫理観が、静かな対話の中で、きりきりとせめぎ合う。G8の最中で急死したIMF理事が自殺なのか他殺なのか、他殺ならば犯人は……と、一応ミステリーの体裁は取ってるんだけど、哲学的対話がメインの映画ですね。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月20日
『修道士は沈黙する』:ドイツの保養地ハイリゲンダムで開かれたG8財務相会議の場に、著述家としても高名なイタリアの修道士サルスが招かれた。彼を招いたのは、IMF(国際通貨基金)専務理事のロシュ。しかしロシュは、神父にある告解を行った翌朝に、自室で屍体となって発見される。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:自殺とも他殺ともつかない遺体状況に、捜査当局は神父の犯行を疑う。だが、沈黙の掟に従う神父は、ロシュの告解の内容について口を閉ざす。一方、G8参加の各国財務大臣たちは、死んだロシュ主導で「ある計画」の発表を目前としていた。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:それは、国際金融市場の安定化をはかると同時に、貧困諸国を切り捨て、ともすれば非人道性を指弾されかねない金融改革案だった。それをロシュの告解を通じて神父が知っているのではと疑う財務大臣たちは、神父に沈黙の確約を得ようと、対話を試みるのだが…というお話。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:ミステリー…ではないですね。結局、IMF理事の死の真相は明らかにされず、「計画」もその全貌が明らかにされることもない。ただ、その外縁で神父を中心に繰り広げられる対話の数々により、現代の国際金融の世界が抱える倫理的葛藤が、薄っすらと見えてくる。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:「現代」と言っても、イタリア本国公開は2015年なので、仮想通貨とブロックチューンの話はまだ出てこない。でもサブプライム・ローン問題とギリシャ危機後で、EUを債務国と債権国で分割すべしという金融ヨタ話が一部筋で囁かれてた時代のお話ですね。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:ちなみにそのヨタ話は、英国のEU離脱という形で部分的に実現しますが。ただその辺の現実の国際社会のその後の苦悶を踏まえると、作中で各国の財務大臣たちが神父にぶつける問いや対話の切実さが伝わってくる。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:つまり貧しい債務国をリスクとして冷酷に切り捨てて、債権国の豊かさを守ることは許されるのか。まあ、この話には、債権国は債権国で、消費市場としての債務国を完全に切り捨てることができない(だからギリシャ危機はあれだけ拗れた)という側面もあるんですが。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:逆に、金融の世界では、本当の危機に際しては、非情に徹して果断に処置しなければ、際限なく危機が広がってしまうという側面もある。そこで下さなければならない決断の重さは、もはやまともな神経の人間には務まりそうにないほどに、一見、非倫理的でもある。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:この問いに結論はないですよ。作中では、神父との対話が財務大臣たちの結論になにがしかの影響を与えたかのように描かれているけど、それが本当に正しい結論だったのかは誰にも判らない。それはやがて、現在の金融市場に反映し、研究者たちが論文上で結論づける話です。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:その結論へ、世界のほんのひと握りの指導者たちが、それでも何とかして世界全体を敷衍して捉えようと苦悶し、対話を繰り返してたどり着くプロセスをこの映画は描いている。そこにあえて「異物」である修道士を招くというのが、世界を敷衍する知性の在り様として面白い。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:この辺は、もう我々庶民の生活感覚だとか、国内市場だけ相手をしている企業の活動からは隔絶してて、さらに下手をすると国民国家の概念すらぐらぐらと揺らぐ。そういう仙人界みたいな世界の話を、よくも映画なんかにしようなんて考えるよなぁと感心しますよね。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日
『修道士は沈黙する』:映画とは欲望の表出であり、この映画を成立させているのは、欧州の人々の知性や哲学、そして「それらが現実の政策に落とし込まれる瞬間」をこの目で見てみたいという「欲望」の強さなんでしょうね。そういう意味合いでも、面白い映画でした。#fr18_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2018年3月21日