『世宗大王 星を追う者たち』@シネマート新宿(20/09/05(sat)鑑賞)
本日の映画2本目『世宗大王 星を追う者たち』@シネマート新宿に劇場入りしました。名君とされる世宗大王と被差別階層出身の科学者の身分を越えた友情と、それを恐れた臣下たちの策謀の涯(はて)に……というお話だそうですが、さて。#fr20_n pic.twitter.com/8hoDjjKlpO
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年9月5日
『世宗大王 星を追う者たち』観終わりました。王様と卑賤上がりの技官との、身分の違いを越えた友情のお話……なのはウソではないのだけど、背景にあるのは、明からの人文科学での独立を試みる世宗大王と抵抗する下臣たちの軋轢を巡る文化ナショナリズムの話やんけ、という(^^;; #fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:ハングルの開祖とされるこの世宗大王と仲良くなる主人公のチョン・ヨンシルは、技術者でもあり天文学者でもある。日本で言えば、平賀源内と伊能忠敬を合わせたような人物で、それだけ聞くと「へー、そうなんだ」で済むんだけど……。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:明代の東アジアで、独自の暦と文字を創りますって話は、華夷秩序からの逸脱に直結するんで、武装蜂起の準備段階くらいのインパクトを持って大陸本土からは睨まれます。それが判ってるので、下臣団は王に翻意を迫る。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:つか、建前上、絶対王政の国で、公然と王様の命令を無視する下臣団はどうなってるのか。いや、何処の国であっても官僚機構は、その時々の「権力の源泉」を見て仕事をするのであって、法秩序も職業規範もナショナリズムでさえ、後付けの概念でしかないのです。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:だから、本作での下臣団は目の前の王様ではなく、北京の皇帝を「真の王」と見て仕事をしている。この辺はまあ、我が国の官僚が民主党政権時代(あるいは今でも?)どこ見て仕事をしていたか、という話にも通づるわけですが。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:なので、物語後半では、この面従腹背を決め込む下臣団から独立国家としての統制を取り戻すべく、世宗大王がカウンター・クーデターを仕掛けるという、宮廷謀略劇へと雪崩れ込んでゆく……愛すべき無垢なる技術バカの主人公を捲き込んで。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:一応、王様は主人公を救いたいとは思ってるのだけど、大義名分を巡るぎりぎりのせめぎ合いなんで、自分たちの打つ手がどっちに転ぶか読みきれない。王権側も無実の人間に拷問とかするしね。「権力」が動くとは、そういうものだ、というドライさが通底している。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:事の根幹には、大国・明の外縁国家としての朝鮮に、政治・軍事だけでなく、文化・科学技術的な自由空間も限られており、その範囲内でどう「独立」を確立するか、という、今日に至る地政学上の重大命題に繋がってくる。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:実際、作中での「ハングルの開発が明への叛逆と取られる」という話は、先日観た植民地時代の辞書作りを描いた『マルモイ ことばあつめ』とも繋がる話ですしね。今日でも、韓国は、核やミサイル技術開発に、国際的な強い制約下にある。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:いやあ、そこは隣国として自由にやられても堪らないですけど(^^;; 結局、この映画で語ってることの裏面の話でもある。それを好意的に言い直すなら、学問の自由は、国際関係の安定があってこそ、はじめて成立するということかな。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:この映画は、文化・科学ナショナリズム誕生の萌芽の時代を描くお話なので、その負の側面まで踏み込みはしないんだけど、いずれにせよ、世宗大王と主人公の普遍的な友情の物語を軸に、骨太の史劇を編み上げる手腕は見事なものです。#fr20_n
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『世宗大王 星を追う者たち』:基本的にオッサンと年寄りしか出てこず、メインはオッサン達のきゃっきゃウフフという映画ですが(^^;;、ここで描かれているのは、朝鮮だけでなく大国の外縁で「独立」を模索する多くの国に通づる物語です。そういう視座を見つけてくるのが韓国映画は上手いよね。#fr20_n
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