積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

■Twitter               ■Twilog

■小説を読もう!           ■BOOTH:物語工房
 
各種印刷・製本・CDプレス POPLS

2014年度1月分総評

1月の鑑賞本数は17本。ちなみにその前年2013年は8本、一昨年2012年は5本だったので、年頭から早くも危険な兆候を醸し出していたわけですが、それはさておき(汗 この月のMVPは『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側で!』になります。


映画『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』PV - YouTube
 
この月は、ufotableのアニメ映画『魔女っこ姉妹 ヨヨとネネ』もアッパーな児童文学映画としてよく出来てたし、ジョニー・トー監督が中国本土を舞台にした麻薬戦争もの『毒戦 ドラッグ・ウォー』も情け容赦ない犯罪戦争描写が素晴らしかった。
荷車を押してるだけなのに何でこんなに面白いのというアイデア勝負の傑作、パラグアイ映画の『7BOX セブン・ボックス』など、早くも佳作が多かった月です。
『永遠の0』は……まぁ、いいや。原作者や監督の意図はさておき、老俳優の皆さんの渾身の語り部演技は、下手な反戦映画以上に胸に迫るものがあったとだけ指摘させていただくとして。
 
にも関わらず、なんで『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側で!』だったかと言うと……よもやのセンター天海春香による「マネジメント映画」というアイドル映画の新境地を切り拓いた点を評価してです(爆。いや、そうくるかー、という。
後から振り返ってみると、アイマスという作品が多人数のアイドル・グループものであることと、実際にAKB48などのアイドル・グループが活躍している今のアイドルシーンを考えると、必然とも言えるのだけど、もっとお気楽なふわっふわな話で終わるかなと覚悟していたんですけどね。(前半30分間、ポジティブなことしか描いてなかったので、観てて不安になったけどw)
 
いや、アイドル映画って、実は結構成立条件が厳しくて、そのアイドルのパブリック・イメージをあまり傷つけたり汚したりせず、ファンの下に送り返さないといけないわけですよ。(その映画でイメチェンするとかいう場合は別として)
でも「映画」、というか「物語」とは、劇的であればあるほどキャラに「成長」を促してしまうから、「映画」を経てファンの知るそのアイドルでなくなってしまう可能性がある。
勿論、日本のアイドル・シーンは、その子の「成長」もファンが楽しむ要素として捉えているから、多少の成長要素は全然ありなんだけど、あくまでそれはファンの許容範囲内での話。そこを読み違えると、そのアイドルをコンテンツとして終了(オワコン化)させてしまう危険さえある。
で、この映画がさらに面倒くさいのが、「アイドル(が出る)映画」ではなく、「アイドル(を描く)映画」であり、TV版からの物語の延長線上であることです。
 
どういうことかというと、「アイドル(が出る)映画」なら「映画」の中で恋愛しようが結婚しようが、「映画」と本人(アイドル)は別々なので、ステージに戻ってきたらファンにとってはいつものアイドルでいられる。コンテンツ本体には傷はつかない(濡れ場とかあったら別だけど)。
ところが、この作品はTV版の物語の延長であり、「アイドル(を描く)映画」なので、その意味で「現実」の延長なんですね。それがコンテンツの本体なんだから、うかつに成長させてしまうわけにはいかない(勿論、その裏で中の人(声優)の人生が別にあるわけだけど)。
 
そんなわけで、恋愛とか結婚・出産だのの定番イベントを避けて、TV版の延長の物語を描こうとしたとき、「許容される成長」として、天海春香の「センターとしての成長」と769プロの「チームとしての成長(結束力)」を組織マネジメント論として描くのは本作には必然だったわけですが、ショービズ作品では、これまで意外とこの着眼点がなかった。
まぁ、逆にこれまでこの条件が揃う作品がなかったとも言えますが。
 
そんなわけで、新しい物語構造を提示したという、その意義を評価しての月間MVPだったのです。
……うん。TV版からファンだったので、大きなスクリーンでみんなよく動いてて、歌や踊りもいっぱいで幸せ〜ってのも、勿論あったけど。<そっちが本音か。
 
って、いきなり1月分から長いわ!
これを12ヶ月分続けるのか……(う〜む)。
※たぶん、2月から短くなります。