積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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地元の店

 普段、会社と自宅の往復で終始するような生活をしていると、自転車で10〜20分ぐらいの場所でも、しばらく立ち寄っていなかったような場所が出てくる。
 近所のスーパーでは片付かない、だけど都心まで出るまでもない買物用事があると、ウチからでは府中に出るのが一番便利なのだが、何だかんだでこの2〜3ヶ月、じっくりとぶらつくような機会もなく過ごしてしまった。
 その間、府中の南口にはシネコンを組み込んだ複合商業施設が開店し、それに伴い、商店街の様相にも若干の変化が生じている。複合商業施設の1階には、元からあった店舗を入れることを優先しためか、パチスロ屋から電動工具店まで店の顔ぶれがバラエティに富みすぎているとか、歩道の整備がまだ終わっていなかったりもするのだが、総じて便利になったと評すべきだろう。
 そんなことを考えながらぶらついていると、馴染みのケーキ屋が更地になっているのに気付いた。旨いブルーベリー・タルトを出す店だった。馴染みといっても、もう2年ほども立ち寄っていない。どこに移転したという看板もないから、こちらが気付かなかっただけで、随分前に店をたたんだらしい。
 特段、甘いもの好きというわけでもない自分がこの店を知っていたのは、府中まで買い物に出るたびにこの店に連れ込まれていたからだが、それがなくなってからは足が遠のいてしまっていた。
 それがどこの街並みであろうと、街の顔触れというものは日々変わってゆく。それをいちいち振り返りたがるのは、無用の感傷というやつだろう。たとえそれが、もう口にすることのできないブルーベリー・タルトやそれ以外のものに向けられたものであったとしても。