積読日記

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相田裕『GUNSLINGER GIRL』第5巻

GUNSLINGER GIRL 5 (電撃コミックス)

GUNSLINGER GIRL 5 (電撃コミックス)

 基本的に悪趣味な世界観に満ちたデストピアもので、「社会福祉公社」の設定は醜悪の極みであると個人的に感じていることをまず表明しておきたいと思う。
 ある種の作家には、己のルサンチマンをこうした悪趣味な設定やストーリー展開として読者にぶつけたがるものもいる。
 それだけだとただのテロリストだが、本作の場合、その悪趣味な世界を批判する視点をそこここに配しているので、それが毒消しになってそこそこ読むに耐えるだけの作品になっている。まぁ、ぎりぎりの線ではあるのだけど。
 今回の巻では、「社会福祉公社」と対立する反体制テロ組織「五共和国」の少年暗殺者ピノッキオに焦点を当てた物語。相変わらず読後の後味が悪いオチなのだが、これがこの作品の売りなのだから仕方がない。それでも、敵をただの「標的」ではなく、ちゃんと血肉の通った「人間」として描くこうしたエピソードがあればこそ、えぐい世界観でもエンターテイメントとして成立しうるのだろう。
 しかし、まぁ、これだけ救いのない閉塞した設定と世界観で、どういうオチをつけるつもりなのかな。本質的なストーリーはあまり進んでない気もするので、あと10年くらい、同じようなエピソードを重ねてそうな気もするけど。