『GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO-』第1話「二人の距離 兄妹」
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……いや、ま、いいんですが。
いろいろ言いたいことがなくはないんですが、とりあえず五共和国派(パダーニャ)のテロがぬるくてなぁ。基本的に70年代の「赤い旅団」辺りのイメージからきてるんだろうけど、911後の「テロ」は次元が違うからなぁ。時間差で2重3重に自爆テロを仕掛けて、被害を徹底的に極大化させる『キングダム』冒頭のテロみたいなのが今時のテロのスタンダードだから、デモ隊にまぎれて警官吹っ飛ばしたくらいで喜んでる連中を見ると、古き良き牧歌的な時代の出来事のようでいっそなごみますなぁ。
で、こういう学生に毛が生えたようなのんきな連中を狩るために、犯罪被害者や難病の女の子をサイボーグ化して洗脳して人殺しをやらせてるわけだ。
ふ〜ん。
この作品は原作からしてそうなのだが、どこまで真面目に取っていいのか、率直に言って対処に困る。
どうも意図的にそうしているのではないかと疑っているのだが、この作品には上記のような「コード(基準線)の混乱」が随所に見られる。この場合の「コード」とは、「ドレスコード」の「コード」である。こてこての時代劇に表参道辺りのギャルがそのままの衣装で出てきたら、シリアスなドラマだと主張されても説得力ないよね、というような話である。
その意味で、上記のような設定上の矛盾を放置しているのは「真面目に考えちゃダメよ」という作者からの暗黙のメッセージと解釈できなくもないのだが、じゃあ、こんな設定状況下で臆面もなく「義体の少女の悲劇」を語ろうとする作者は何をやりたいのか、という話になる。
あるいは、このような「コード」の存在にも気づかないほど作者に「教養」がないか、「コード」を平気で無視できるほど無頓着なのか。はたまた読者が気づかないと舐めてかかっているのか。
いや、実はそうなると、今度は私たち読者自身の問題となってくる。
上記では偉そうに「コード」の存在について語ってきたが、勿論、すべての分野で在るべき「コード」について定義できるような読者はどこにもいない。たとえば、「バチスタ手術」を扱った小説で何か致命的な設定ミスがあったとして、医学には門外漢の自分には何がおかしいのかも判らないだろう。そこを指摘する専門家がいても「小説として面白ければいいのだ」と反論しかねない。
とすると、作品に違和感を感じても、よけいな茶々なぞ入れず、黙っているべきなのか。
「悪い書評は不要だ」と言い放つライトノベル編集者までいるご時勢である。KY(空気読め)とは、日本人の美徳なのだからして、せっかく作品を楽しんでいるファンの目に付く場所で、批判的な言動は避けるべきなのか。
……いや、それはそれで「アホか」という話だし、何より、その程度の批判で魅力を喪うような作品なら、所詮その程度の普遍性と説得力しか持てない作品なのであり、言っちゃ何だが、商品価値もその程度でしかないという話に過ぎない。
まぁ、「商品価値」だけが作品の価値ではないとは思うが、だったら商業市場になど出さずに、同人界の片隅辺りにそっと置いておけばいいのだ。野辺にあってこそ輝く花もあろう。でなきゃ、WEBなんか巡回するな。つか、自分の作品(子供)の価値くらい、作者(親)が信じてやらなくてどうするよ。
若干、話がずれた。
要するに、この作品は「コード」の混乱した困った作品なのだが、その混乱は読者である自分の中の未整理な部分を更に混乱させる。
まぁ、その辺の混乱も込みで、面白いっちゃ面白い作品ではあるのだけど。