竹宮ゆゆこ『とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)』
- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
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大河のダイエット話の表題作に、殺伐としたクライマックスに突入している本編ではもはや懐かしい高須家での団欒系のエピソード、合間にアホの春田の恋愛話を挟み、締めは
どれもたわいないといえばたわいないけど、それでも当事者のその瞬間その瞬間には切実で、時に胸を抉られるような痛みにもきちんと踏み込む、いずれもゆゆこ節全開の作品群。
しかも「痛み」を「痛み」のままに流さず、きっちり正面突破してのけるんだよね。年上カップルの修羅場に捲き込まれたアホの春田が、アホがアホなりに自分の恋心に筋を通す『春になったら群馬に行こう!』とか、仕事にも煮詰まって、男にも振られた恋ヶ窪ゆり先生がブチ切れていろいろ吹っ切れる『先生のお気に入り』なんかでの、突き抜けるその瞬間の感覚なんか、それなりの人生経験を経た社会人なら頷けるものが多いだろうし、そうした「突破力」こそ、若い電撃読者の中高校生に伝わって欲しいと思う。
その意味で現代の教養小説の趣が……って、そこまで言うと言い過ぎかしらん(苦笑)。
本編が結構きつい状況に突入してるので、ちょっと箸休め的な意味でちょうどいいかと。
本編の次巻より先にアニメの方がラストを迎えそうだけど、これでまずはともかく春までは戦えそうですな。