積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

■Twitter               ■Twilog

■小説を読もう!           ■BOOTH:物語工房
 
各種印刷・製本・CDプレス POPLS

『週刊少年サンデー』30号

総評

 今週の『サンデー』についてはレビューのタイミングを完全に外してしまった感もあるんですが、『いでじゅう』の最終回、『思春期刑事ミノル』でのミノルの殉職(?)、椎名高志の『絶対可憐チルドレン』の連載開始決定の情報解禁など、ターニングポイントとなる週だったように思います。
 『いでじゅう』については、ちょっと距離をおいて読んでいたこともあり、コメントは差し控えます。別に否定的に捉えているわけじゃないんですよ。ただ、この作品の総括については、このベタベタなラブコメっぷりに素直に身悶え出来た人にこそやってもらうべきのような気がします。
 『ミノル』はどうでもいいとして(おい!)、椎名高志の『絶チル』についてはねぇ……椎名氏自身の前作や和月伸宏の『武装錬金』の挫折など、マンガ巧者なベテラン作家がその才能と技術の粋を注ぎ込んだ作品が、必ずしも現在の少年誌市場で受け入れられないという状況がありますので、椎名氏自身のサイトでの作品への熱い意気込みに共感を覚えつつも、一抹の不安が拭い去れない船出でもあります。
 彼らの失敗は、何となくノリや勢いより、テクニックや論理が先行した結果、逆に少年誌掲載作品としては煮詰まっちゃった所為というの僕自身の総括なので、そこを椎名氏自身がどう捉えているかが『絶チル』成否の鍵のような気がします。
 ともあれ、『(有)椎名百貨店』が『増刊少年サンデー』に連載されていた頃からのファンとしては、ぜひとも頑張っていただきたいところ。
 大体、みんな知ってる? どじっ娘で耳にアンテナつけた美少女ロボ(不良品)という概念は、マルチより何年も先に椎名高志が初期の読み切りでやってたんだぜ。[文責:義忠]

あだち充クロス・ゲーム

タッチ―完全版 (1) (少年サンデーコミックススペシャル)
 義忠さんのレビューと重なってしまいますが、サンデー「クロスゲーム」について一言。
 以前から「あだち充のスポーツコメディーは不要である。ラブコメを所望する。」と私は公言しておりましたが、今週の分を読んでガックリでありました。
 確かに編集部の方針とはいえ、この「八割がたストーリー展開が読めてしまう内容」ってのは、どうにもならんものでしょうか。
 このまんま「お弔い」の野球漫画になってしまうのなら、私は間違いなく読まなくなるでしょう。
「お弔い」は道士郎だけで充分である。あ、あれは「お侍」か。
 
 もっとも再来週あたりに、突然十年後の話になって、主人公と同級生のキャッチャーと赤石くんとの三人が「日本ハム」の主力選手として優勝争いをしている、ってな展開だったら、私は無条件で単行本全て買い揃えますよ。
 できるモンならやってみやがれってんだ、小学館。[文責:D.E.]
 
 で、僕義忠からも若干の補足。
 今回のお話では主人公に言い寄っていた月島家の次女に、唐突に死亡フラグとしか思えない描写の数々が……(爆)。
 どうなんでしょうねぇ。本気で殺る気かな。
 お話の構造上、そろそろ主人公に野球に本気で向き合う「動機」を打ち込んでやらないと、前作のボクシング漫画みたいな今ひとつ締まりのないお話*1になってしまう可能性があるので、何らかのイベントが発生するだろうなとは思ってましたが。
 しかし、あの娘が死んでも野球とはあまり関係ないよね。ここであの娘が死ぬなり事故を起こすなりで主人公の心の中で発生する感情は、「次女の存在の重さを自覚する」くらいで、野球ルートにはフラグは立たんでしょう。
 編集の責任なのか、あだち充の考えなのか不明ですが、ちょっと何を考えているのかよく判らん展開になってきました。まぁ、「結局、ただのフェイク」というのが僕の読みなんですが。*2[文責:義忠]

雷句誠『金色のガッシュ!!』

金色のガッシュ!! (20) (少年サンデーコミックス)
 ここ最近の『ガッシュ』は、僕の考える「少年マンガの王道」を見事なまでに体現していて、もはや何も言うことはない状態に至っています。
 もうね、共闘を申し出る敵に対し、完璧なブチ切れ状態の清麿とガッシュが話も聞かずに最強呪文の攻撃モードで突撃するくだりなんか、鳥肌ものですよ。
 本の持ち主が腹の中から出てきたくだりは本来笑うところなんでしょうが、読者は清麿達同様、「今更そんなことはどうでもいい。とにかく手前だけはぶっとばす!」という気持ちになっているので、話の盛り上がりがちっとも阻害されない。
 でもこの土壇場で敵がこの切り札を切ってきたと言うことは、次回以降の攻防は最大呪文の飛び交う壮絶な展開が予想されるわけで……と、見事な引きとなっている。
 この熱量とパワーはテクニックや計算だけで出せるものではなく、どこまで自分の作品に素直に感情移入できるかに掛かってくる。それも主人公だけでなく端役に至るまですべてに目配せがなされていなければならない。それが出来て初めて作品の熱やパワーに繋がってくるものの、それだけのパワーが作者自身にも必要となってきます。
 勿論、和月氏や椎名氏ほどのベテランがそれを知らない訳はなく、それだけに誰にでも出来ることではないという証(あかし)でもあるわけなんですが。[文責:義忠]

畑健二郎ハヤテのごとく

ハヤテのごとく! 2 (少年サンデーコミックス)
 WEBサンデーで、久米田が数年ぶりに書き込み。
 ……後輩に対して、そんなに意地を張らんでもよかろうに。[文責:D.E.]
 
 いやいや、可愛い弟子の単行本第2巻の発売を祝う師匠の心づくしでしょう。
 何せこの2巻には、師匠の『かってに改蔵』でさえ、めったにやらせてもらえなかったカラー頁も収録。発売直後のamazonでは、アニメ放映終了後も絶好調な『スクールランブル』最新刊とランキング1位を競い、トーハンのコミックス売り上げランキングでは10位入り、数多のブログでも取り上げられ、と話題に事欠かない弟子の活躍が可愛くないはずないじゃないですか。
 そんな畑クンのWEBサンデー更新記録を阻止するためだけに、どーでもいいネタで更新なんて、久米田師匠はそんなどす黒く煤けて捻じ曲がった根性の持ち主じゃないですよ。
 ほら、畑クン。
 久米田師匠も遠い『少年マガジン』誌上で頑張ってますよ。毎週毎週、新しい美少女をひとりづつ出して、宿敵・赤松健打倒に燃えています。どの娘も逝っちゃってる娘ばかりで萌えようがないとか、みんな勝手なこと言ってますけど、『ネギま』みたいに人気アイドル声優がバンバン出るアニメになる日も近いでしょう。(いや、それはどうだろう)
 頑張れ畑クン。
 とりあえず秋葉原のコミック系書店各店は応援しているみたいだったぞ。(ちょっと嫌かも)

 それはさておき。
 今回は扉のサブタイトル(煽り?)に尽きますな。
「現在が大事だ! 現在を守ろう! 世界を革命しない力! とりあえず現状維持からだ!」
 ……お前ら、最高過ぎ。[文責:義忠]

*1:ある意味、これほど「あだち充らしい」作品もなかった気もするけど。

*2:ただし、この手のフェイクで読者の気を引く裏で、何を仕掛けてくるか判らんのがあだち充の恐ろしいところ。