決断主義トークAlive
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/02/25
- メディア: 雑誌
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コメントへの返事としては長くなりそうなので、こっちでやります。
> >宇野君を殺す言葉としては「商業主義にかぶれたサブカル文化人」ってのが適当なのかねぇ?
彼の場合は「商業主義云々」というより、単に思索が足りない、哲学が足りないだけです。
直感力として非常に優れた感性の持ち主なのに、それを論として立てるに当たって予断が多すぎる。
「本屋大賞の選考者は女の子にもてたいだけだ」って何だよ。仮に事実として、問題は「なぜ、女の子にもてたい」という判断がそこに入るのか。その「女の子」に媚びる視点の存在が何であの結果に繋がるのか。その結果のあのラインナップが、観測者たる「女の子」にどう評価され、どう市場にフィードバックしているのか、それは何故なのか。さらにはこの現象がどのような普遍性を持つのかをきっちり掘り下げないと意味はないだろ。*1
「予断」は「予断」で何がしかの真理が含まれているのだろうから、入り口としてはそれでもいいのだけど、そのひとつひとつに対して「なぜ、そうなのか」の思索が決定的に足りなさ過ぎる。
だから、自分で設定したフィールドやシーンだけを語っている間はクレバーに見えるのに、自分より力量のある論客に想定外の角度から突っ込まれると、論旨の矛盾が露呈してすぐにぐだぐだになる。モデリングが甘いんです。
これは典型的な若い書生が陥りがちなパターンだし、またウチみたいな書き捨てのブログ論壇きどりなら別にそれで開き直ってもいいんだけど、まがりなりにもプロを標榜する「評論家」がこれでは商品価値はない。
これを克服するには、東浩紀のような格上の論客に散々に小突きまわされながら鍛えてゆくしかない。その点で、ここ最近の彼がこなしている対談は必要なものだし、そこに踏み込んでいった彼の勇気は高く評価するのだけど、別にそれを公衆の面前で晒す必要はないわけですよ。加えて論点の甘さを突っ込まれた時に、とっさにスルーしようとする態度がまま見られたのもいただけない。そこにこそ、今の彼の殻を突破するカギがあるはずなのに。
そんなわけで、彼への殺し文句は「黙れ、書生坊主」ってところでしょうかね。
まぁ、今はともかく、将来を嘱望される有望な若手論客であることには違いないので、別に殺す必要もないんですが。
で、とりあえずこの件はここまで。
別にここは宇野常寛オチサイトではないので、これ以上、引っ張ってもしょうがない。
まぁ、『ゼロ年代の想像力』が単行本化されるか、次の『PLANETS』が面白かったら取り上げましょうか。
*1:無論、フリートーク中の与太話として軽く取り上げられた話にしつこく喰いつく方が野暮なのだが。