積読日記

新旧東西マイナー/メジャーの区別のない映画レビューと同人小説のブログ

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Interlude II 〜追悼

 諸々多忙中につきお休みしてますが、今日は連絡事項など。
 
 まず、上のイベント参加予定にも書きましたが、11月のコミティアに落選しました(爆)。
 2回続けてかよ、とちょっと凹み気味ですが、例によって清野クンのところにお邪魔させてもらって参加します。
 ……いや、どうせ新刊は出せないんですけども。
 
 次に、軍事評論家の江畑謙介氏がお亡くなりになりました。

軍事とロジスティクス

軍事とロジスティクス

兵器と戦略 (朝日選書)

兵器と戦略 (朝日選書)

 世間的には91年の湾岸戦争でのNHK解説員としてのお仕事で知られた方ですが、得てしてイデオロギー的な解釈の入りやすい軍事評論の分野で、事実に即した研究を積み重ね、またそれを一般人にも判りやすく、そして手に取りやすい形で発表されてきたことは、この国の社会科学の発展に大きく資するものであったことは疑いようもありません。
 特に晩年に発表された『軍事とロジスティクス』は、タイトル通り「ロジスティクス」について、911後、更にはイラク戦争後の最新の動向を踏まえた力作でした。兵器や作戦に偏りがちなこの国の軍事評論の世界に、一石を投じる本であったことは間違いありません。個人的には、ここ最近の海外派遣任務の数々を経た自衛隊ロジスティクス戦略について、是非、分析していただきたかった。
 なお、氏が生前、政府の委員会などに参加されていたことを捉えて、「自民党寄りだった」と評する向きもあるようですが、これは安全保障の分野に限らず、そもそもこの国ではあらゆる学術分野でめぼしい学者は政府の委員会やら審議会に取りこまれてしまっていたという現状があった以上、そこへの批判には意味はありません。逆に言えば、学術分野での専門家の人材層がその程度で底を打ってしまうほど貧弱なのだ、ということこそ問題なのだとも言えます。充分なセカンドオピニオンを形成できるほど、専門家や研究者の層が厚くはないのです。
 そうした状況の中で、象牙の塔に籠るのでなく、現実の社会に積極的にコミットして自身の研究の成果を世の中に活かそうとされた氏の姿勢は、決して批判されるべきものではないと私は思います。
 心よりご冥福をお祈りいたします。