『幕末残酷物語』@東京国立近代美術館フィルムセンター(16/7/21(thu)鑑賞)
本日の映画『幕末残酷物語』@東京国立近代美術館フィルムセンターに劇場入りしました。1964年公開。大川橋蔵主演の新撰組ものだそうですが、さて。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月21日
『幕末残酷物語』観終わりました。新撰組に入隊した青年(大川橋蔵)が、内輪で粛清を繰り返す隊内の暗黒面にどんどん適応して出世してゆくが……というお話。敵と戦うより、内輪で殺し合う方が多かったという新撰組の異常さを告発する話で、お話はほとんど屯所の中で終始します。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月21日
『幕末残酷物語』:池田屋事件後、規模拡張に伴って、隊員の新規募集に踏み切った新撰組に、田舎から上京してきた青年・江波三郎(大川橋蔵)がいた。木刀で試合させる苛烈な選抜試験に一時は逃げだす江波だったが、腹を切ってまで入隊を望む意志を近藤勇に買われ、入隊を許可される。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:隊内は冷酷非情な土方歳三(西村晃)が定めた局中法度によって、些細な罪を問われて日常的に隊員が処刑されてゆく異様な組織空間だった。沖田総司(川原崎長一郎)を隊長とする一番隊に配属された江波は、処刑執行人を自ら申し出ることで出世してゆくが…というお話。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:前日に観た『風の武士』でも感じたことなのだけど、この頃の大川橋蔵って、藤原竜也によく似た顔立ちで、時代劇俳優というより21世紀の「現代」の邦画に紛れ込んでも、普通に青年役が務まりそうな、モダンな空気感のある役者さんです。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:調子が良くて、気の弱いところもあるけど、誠実で優しく、どこにでもいる青年……。それが殺伐とした残酷時代劇の空間に投げ込まれ、目を血走らせて多人数を相手に血刀を振り廻す状況に追い込まれる。その世界の残酷さとのコントラストこそが、両作共通の魅力です。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:これはこの2作だけなのか、加藤泰監督作品での大川橋蔵がそうなのか、あるいは大川橋蔵作品はみんなそうなのか。……まぁ、その辺はもう少し作品数を掘ってみないと何とも言えないのだけど。でもここでの大川橋蔵は、公開時より今こそ現代性を感じるなぁ。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:あとはまぁ、西村晃の土方歳三に言及せざる得ずw。策略家で、非情で、隊内で何かトラブルがあると「とりあえず斬っといて、後で考えればいいじゃないか」という雑かつ酷薄な思考の持ち主で(ー ー;)、新撰組の暗黒面を体言する人物として描かれています。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:だいたい隊外での活躍を一切描いてないので、閉ざされた屯所の中で延々、マウンティングの手段として死を弄んでいる男集団で、映画の終盤には、その集団の呪縛からどう抜け出すか、という話になる。……いや、誰も抜け出せずに、みんな死んじゃうんだけど(爆 #fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:そういう集団の狂った論理に、戸惑いながら、つぶさに観察し、一時は完全に染まりきったように見せかけながら、ラストで一転、その集団の狂気を告発するのが大川橋蔵の役回り……なんだけど、その時点で、お前も結局一緒じゃねーか、という(爆 #fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:現代の観客の代理人として、新撰組を紹介する役回りというかね。60年代の新撰組ものは(と言うか、司馬遼太郎の『燃えよ剣』以前は)、だいたいこういうゴロツキ集団として描かれることが多いのだけど、その集大成とも言うべき作品ですね。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:ちなみに、池田屋事件以降、鳥羽伏見の戦いまでの間の、後世「新撰組もの」として定番とされるイベントはだいたい組み込まれてます(山南脱隊の話は、「屯所内の話」にするために、史実を脚色してますが)。この辺の話が教養として定着したのは、いつ頃なんですかね。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:ただの維新史の悪役扱いにしては、隊内の粛清話なんて陰惨な話のディティールをみんな知りたがったとも思えないんだけど、やはり『燃えよ剣』以前からも、「悲劇の集団」として社会的に関心を惹いていた、ということなのでしょうか。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日
『幕末残酷物語』:この辺の「新撰組もの」の時代の変遷なんかも、追ってみると面白いかもしれません。ともあれ、半世紀前の白黒映画なのに、21世紀の現代でも鮮やかに観ることのできる、幕末青春ノワールでした。機会がありましたら、是非。#fr16_n
— 義忠@C90(日)東パ47a「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年7月22日