『無宿者』@東京国立近代美術館フィルムセンター(16/1/15(fri)鑑賞)
本日の映画『無宿者』@東京国立近代美術館フィルムセンターに劇場入りしました。1964年公開。市川雷蔵主演、三隅研二監督のヤクザものの時代劇、だそうです。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』観終わりました。……えーと、『スター・ウォーズ』の原作?(ウソ いや、プロットの複雑さ、キャラ立ての強さに情念の深さなど、同年代の現代劇と比較しても、ドラマが一段と深さと強度が深い。日本の時代劇はここまでの完成度に到達してたのかと、戦慄すら覚える映画。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:渡世人の一本松(市川雷蔵)が賭場で知り合った浪人の黒木と逃げ込んだのは、ヤクザによる人足狩りで荒れた宿場町。狩れれて集められた百姓町人は、佐渡の金山に送られて、誰も帰ってこないという。そのヤクザが2年前に大金を手に急に現れたと聞き、一本松は興味を抱く。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:一本松は、5年前に殺されて父親の仇を追う身。御用金強奪で何者かが4千両の金を奪った現場に出喰わした一本松の父親は、犯人に斬殺され、白骨で発見された。以来、荒い金遣いをするものを仇を疑い、旅から旅の旅ガラスの日々だった。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:地元の代官所まで抱き込むヤクザの資金力に引っかかった一本松は、ヤクザの親分を締め上げると、彼らのスポンサーの三州屋、さらにその背後に更なる黒幕がいることを知る。だが、それを口にした親分は即座に三州屋の用心棒に口を封じられる。#fr16_n
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『無宿者』:宿場町を完全に支配する三州屋一党を敵に廻し、一本松と黒木は黒幕の正体を追うが……というお話。で、この話のどこが『スター・ウォーズ』の原作(?)かと言うと……言えない! ネタバレなので言えない!(まぁ、気付いてる人は気付いてるだろうけどw) #fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:基本的に主人公の一本松が行動的で、ひとりでずんずん捜査して謎を暴いてく構造で、乗りは完全にハードボイルドな探偵小説。たまにボコボコにされてもへこたれず、「父親の仇を取る」という軸線がぶれないのが頼もしい。ところが、それも実は…というミステリーがまたw #fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:そしてたどり着いた黒幕の正体の衝撃…いや、実はここまで丁寧なネタ振りが重ねられてきてるので、勘のいい人なら、その正体に気付いてたと思うんだけど、この黒幕がまた、虚無の底が抜けたようなモンスター級の「悪」で。邦画でこういう底抜けの「悪」を描けたのかと戦慄。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:その黒幕の前に、単純に色情に狂って暴力に及ぶ奴、残虐な暴力に愉悦を覚える奴、配下を率いて権勢を振るう奴と、いろんなパターンの悪役を出しておいて、そいつらを凌ぐ黒幕の「悪」を描く。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:守銭奴なのは表層に過ぎず、自身の裡(うち)なる虚無を撒き散らすために、地域の権力構造に喰い込んで、殺戮と収奪のエコシステムを構築する。持続的な絶望を生み出すために…。うわー、60年代の時代劇なのに、何でこんな最先端で通用しそうな「悪」を描けてんだよ! #fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:作品の中で表現される「悪」に説得力やリアリティが強ければ強いほど、それに対抗する主人公の行動の激しさや苛烈の領域を広げることができる。端的に言えば、無茶がしやすくなる。それに観客の共感を得て、物語に引込みやすくなる。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:なので、それだけ「悪」をどう描くかは重要なんだけど、観客の共感を得やすい「悪」とは即ち、その時代の観客が集合無意識的にイメージする「悪」ーー社会的問題意識のイメージと近似値になりやすい。(作家性もあるので、必ずしもイコールではないけど) #fr16_n
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『無宿者』:そういった意味合いを踏まえて、ここ最近のあるべき(描かれるべき)「悪」像とは、人間関係や利害関係を操作して暴虐と絶望を持続的に再生産させるエコシステムを設計構築する環境操作型の「悪のデザイナー」みたいなのではないか……てなことを、ここ最近考えてて。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:いや、ISとかは、もうちょっと違うモデルなんじゃないかとか思うけども、それはともかく。こういうのが最新の「悪」のモードなんじゃとか考えてたら……60年代にとっくにやられてるーっ!(爆 わし如きの浅知恵で思いつく「悪」なぞ、とっくに先人がいて当然…orz #fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:まぁ、それだけのスケールの「悪」を描いておいて、落ちで「家族の情」で決着がつくというのは、時代の限界からくる「甘さ」と取るか、人間という存在に対するぎりぎり残った「希望」と取るか……。半世紀前の映画なんだけど、これも易々と時代を越えてくるよなぁ。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:その他にも、渡世人と言うよりタフな探偵みたいに憎まれ口を叩きつつ、時折見せる陰の深さに引き込まれる市川雷蔵の魅力とか、悪党どものギラついた感じとか、凄く魅力的なハードボイルド映画でした。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日
『無宿者』:一応、DVDも出てるけど、絶版なのかな。名画座などで観る機会がありましたら、是非。#fr16_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2016年1月15日