『国家が破産する日』@シネマート新宿(19/11/14(thu)鑑賞)
引き続き本日の映画2本目『国家が破産する日』@シネマート新宿に劇場入りしました。1997年、通貨危機によって韓国経済が大崩壊したその直前、その兆候を事前に掴んで回避に奔走した者、利用して大儲けを目論んだ者、翻弄される市井の人々などの姿を描く経済映画、だそうですが、さて。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年11月14日
『国家が破産する日』観終わりました。地獄の釜の蓋が開く話。現代経済史とか韓国史を知ってると、オチは判りきってるんだけど、その辺のどうもならん所まで見届ける映画。「韓国は大変だったねえ」とか他人事で観てると、IMFの要求事項が日米構造協議の米側要求そのまんまで爆死すると言う。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年11月14日
『国家が破産する日』:作中の視点は3つで、ひとつは中央銀行である韓国銀行の通貨政策チームを率いる女性部長で、彼女を通じて政権中枢の動きやIMFとの交渉がどう進められたのかのマクロ視点。もうひとつは、市井の金属食器工場の社長さんの資金繰り地獄を描くミクロ視点。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:3つ目は国家破産の兆候をいち早く掴み、富裕層の個人資産家と組んでこの危機をチャンスに成り上がろうとする元証券マンの視点。この三つの視点を切り替えつつ、1997年通貨危機とは何だったのかを描く。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:いや、マクロだけだと血の通わない経済理論だけになるし、ミクロでは全体像が見えないし。ミッドクラスの元証券マンが個人投資家(カモ)を前に、外貨準備金が尽きると、国内の資金循環網が壊死する韓国経済の構造を説明する場面とか非常に判りやすくて良かったです。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:当時の韓国経済と比べて、日本経済はバブル崩壊時でも内需の厚みと、長い好景気期間に蓄えた社会各層の資産があったので、まだましな方だったんですよね。まあ、それだけに事態の悪化に気づくのが遅れたり、本格対処に手を付けるのが遅れることにもつながったんだけど。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:外貨準備高がいよいよ尽きるという映画中盤から、IMFから資金を借りようという話になってきます。それが劇薬であることを知るヒロインである韓銀通貨政策チームは避けようとするんだけど、財務省内部の新自由主義者がこれを構造改革の機会に利用しようとごり押しする。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:ただ映画の中では仄めかされるだけに留まってたけど、この段階で米国は日本に円ウォン通貨スワップ取引を禁じてたし、話としてもう詰んでたというか、IMF拒否のシナリオは最初からなかったというか。それ前提で観ると、悪役の財務次官の振舞いにも一定の合理性はある。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:それよりも日本人的に注目すべきは、IMF側が交渉の初手から出してきた要求のいくつかが、米金融界が日米構造改革協議で日本側に突きつけてきた要求に非常によく似ている点です。特に雇用構造に踏み込んで、賃金抑制と非正規雇用に移行を強く促している。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:これは単体で見れば、当時の韓国の労働運動の激しさを踏まえた提案のように見えますが、今まさに日本の労働者が苦しめられている状況でもある。交渉開始と同時にするっとこういう要求事項が出てきているのは、日米構造協議で叩き台ができていたからですよ。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:だからこれは韓国固有の話であるだけでなく、米金融界の対東アジア戦略の第2章でもあるんですね。勿論、第1章は日本経済の統制を目指した日米構造協議です。そしてそれが米金融界の繁栄に繋がる……んだけど、それが米国自身の繁栄に繋がったのかどうか。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:GDPレベルの話をするなら、韓国経済はIMFの介入により成長力を取り戻している。日本だって「失われた30年」と言いつつ、GDPは増えている。だから、良かったのだ……とは言い切れないのは、どっちもその後、少子化が加速してるんだよね。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:国民の多数を占める層で結婚したり、子供作ったりの再生産に失敗している。少子化の理由はいろいろあれど、単純にその層に必要な資金が廻ってないんですよ。資金の再分配にしくじって、社会が壊死しようとしている。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:米国自身の戦略としても、日本は(相対的な)体力を落として対米依存を深めたけれど、弱った日本では単体で中国を抑えきれそうにない。韓国経済に至っては、対米依存より対中依存を深めている。これは、はたしてこれは米国の戦略プラン通りの絵面だったのか。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:米国の外交戦略は10年越えると途端に怪しくなる。大統領が実質2期8年で入れ替わって、ホワイトハウスの戦略観がその度にひっくり返ってるんだから、そらそうだわな。それは反面、外交戦略の柔軟性でもあり、米国自身のサバイバルに資してはいるのだろうけど。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:米国、あるいは米金融街の本来の意図はともかく、IMFの要求はそのご神託であり、どうせ拒否する自由などなく、後はどう呑み込むかだけ…というこの映画で描かれる財務官僚の態度も、判らないでもない。この映画ではそれを「諦観」ではなく「私欲」としているけど。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:韓国・朝鮮史的には、有史以来、対中国で(たまに日本相手に)繰り返してきたことの一場面でしかないのだけど、しかし優れた映画産業を得たことで、現代韓国人は、その理不尽を理不尽として映画に描き出して世に問うことができる。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:そして、それを映画にすることによって、自国のドメスティックな物語に留まらず、グローバル資本主義に振り廻される中級国家の悲哀、そしてそこに生きる人々の悲喜劇として、非常に普遍性を持って描けている映画だと思います。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
『国家が破産する日』:まあねぇ。観てて邦画も日米構造協議をテーマに映画撮っちまえばいいのに、とも思いましたけどね。でもこういう純粋な経済映画をメジャーの配給に乗せて、どのくらい観客を集められるのか、とも思ってしまう。この辺は、日韓の観客のリテラシーの問題でもあるかな。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年5月31日
■監督フィルモグラフィ:チェ・グクヒ(1976年〜)