『デンマークの息子』@ヒューマントラストシネマ渋谷(21/02/13(sat)鑑賞)
本日の映画3本目『デンマークの息子』@ヒューマントラストシネマ渋谷に劇場入りしました。移民排斥の極右政党が台頭する近未来のデンマークで、イスラム系過激組織からヒットマンとして送り込まれるアラブ系移民の少年のお話を描くデンマーク映画だそうで。……また生々しいネタを(^^;; #fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月13日
『デンマークの息子』観終わりました。前半はデンマーク版『鉄砲玉の美学(1973)』なのだけど、後半は前半でテロを阻止したアラブ系潜入捜査官が更なる奈落へと堕ち、地獄の釜の蓋を開くまで。人が刺客(テロリスト)として形成されてゆく導線を丁寧に描き抜く、どすんとくる映画です。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月13日
『デンマークの息子』:2025年、デンマークの首都コペンハーゲンで多数の市民を殺傷した大規模爆弾テロから1年……。移民排斥を主張する極右政党が勢力を拡大し、その政党との関与が噂される組織「デンマークの息子」によるアラブ系市民へのテロや嫌がらせが加熱してゆく。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:家族を案じるアラブ系市民の19歳の少年ザカリアは、アラブ系過激派組織の活動に傾倒し、極右政党党首暗殺の刺客として抜擢される。軍事訓練を経て党首宅に送り込まれたザカリアだったが、そこに党首の姿はなく、待ち構えていた警察特殊部隊に逮捕されてしまう。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:それは過激派組織に潜入していたアラブ系捜査官の通報によるものだった。テロを未然に防いだ彼は、今度は極右団体「デンマークの息子」に潜入する捜査官の管理の任務に就く。だが、団体内部の会合で交わされる過激な会話の盗聴音声を聴く毎日は彼の神経を蝕んでゆく。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:極右政党の勢力拡大に伴い、移民排斥を掲げる過激な党首の主張をTVが取り上げる機会も増え、妻子と住む捜査官の自宅も極右団体の嫌がらせに襲われる。しかし、「デンマークの息子」への上層部の警戒心は今ひとつ鈍く、捜査官の苛立ちは深まってゆくのだが…というお話。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:近未来政治シミュレーションとは言え、SF的な要素はほとんどなく、ここで描かれているのは少なくともコロナ以前、2020年初頭の欧州に現実にあるものだけで構成されています(本国公開は2019年)。極右側の移民排斥の言葉も、アラブ系過激派のテロ肯定の論理も現実にある。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:監督は実際にアラブ系移民の子らしく、アラブ系市民が日々感じているマイノリティとしての閉塞感や、いつ襲われるかと恐怖に肌がひりつく恐怖感の描写は見事の一語に尽きます。しかしそれ以上に、極右民族主義の主張がガチなんだよね(^^;; #fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:この手の話だと、出てくる極右民族主義を煽る指導者本人は、別にそれを本気で信じているわけじゃなく私利私欲で煽ってるだけ、ということがよくあります。実際にそういうケースが多いという以上に、リベラル視点で胡散臭いものとしたい願望がそうさせるのでしょう。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:でもそういう逃げ場は本作にはありません。行動原理が私利私欲という合理性なら、まだ対話の可能性あるんだけど、本作では(少なくとも表面上は)ガチで言ってて、移民が何人死のうが知ったこっちゃないというか、端から人権も認めてないので話がまったく通じない。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:加えて、後半主人公のアラブ系捜査員は、警察内部でも当然少数派なので、極右過激派への警戒の鈍い主流派への不審感がじわじわと募ってくる。デンマーク映画でアラブ系捜査官といえば『特捜部Q』シリーズですが、あっちはまだ周囲に理解者がいるからなあ。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:この辺、『特捜部Q』はまだ主流派のデンマーク人目線で語られる甘さがあることが判ります。いや、アレも大概ハードですけどね。それでもアラブ系移民市民が本当にひりひりする恐怖感とともに日々の生活を暮らしている皮膚感覚までは及ばなかった。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:物語は、状況打破の可能性を悉(ことごと)くへし折られ、必然のように最悪の可能性へと突き進む。監督の出自であるデンマークのアラブ系市民が日常的に意識している恐怖を、目を逸らさずに真っ向から直視するかのように。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:監督の才能とか資質以前に、そういう人材をフックアップして、こういうセンシティブな映画を撮らせるデンマーク映画界の肚(はら)の座りようには頭が下がります。邦画で言えば、在日韓国系の監督に関東大震災時の虐殺の映画を撮らせる度胸がありますか、という話ですよ。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日
『デンマークの息子』:せめてこの映画を観た人に、一朝事が起こって、排他主義の憎悪と恐怖で社会が暴走した時、相手も家族や家庭を愛する人間だと思い出して一瞬でもその手が止めて欲しいとそれだけを願うような、そういう切実な願いの込められた、観終わって下腹にどすんとくる映画でした。#fr21_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2021年2月21日