『親愛なる同志たちへ』@新宿武蔵野館(22/04/09(sat)鑑賞)
本日の映画2本目『親愛なる同志たちへ』@新宿武蔵野館に劇場入りしました。1962年、労働争議が激しくなるソ連南部都市で、熱心な共産党党員のヒロインはデモの弾圧を主張するが、そのデモに娘が参加していることを知り……という、見る前から地獄感に震えるロシア映画。あうあう。#fr22_n pic.twitter.com/ia4LRl2elN
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年4月9日
『親愛なる同志たちへ』観終わりました。地獄絵図ですわ。市庁舎に押し寄せた群衆への軍の警告射撃にまぎれてKGBが発泡して血の池地獄……から、KGBがデモ参加者狩り始めて、党を挙げて「全部なかったこと」にしてゆく地獄味よ。なかった事なので誰も責任取らないしねー。辛い…辛い…。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:1962年6月1日、ソ連南部ノボチェルカッスクの機関車工場で大規模なストが起こり、労働者による工場閉鎖が発生。共産党地方幹部の説得も効果なく、市政当局がなすすべなく見守る中、翌日には労働者は市庁舎まで押し寄せる。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年4月27日
『親愛なる同志たちへ』:市政スタッフで忠実な共産党員であるリョーダは、中央から来た幹部の前で強硬策を提案し、評価される。やがて市庁舎警備のため軍が派遣され、デモ隊に対し威嚇射撃を行うが、その銃声に紛れてKGBがデモ隊指導層への狙撃を実施。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:デモ隊はパニック状態となり、市庁舎前の広場は大勢の死傷者を出す凄惨な修羅場と化すが、そこに愛娘スヴェッカが参加していたと知ったリョーダは、現場に飛び込み半狂乱で娘の姿を探すのだったが……というお話。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:事件そのものは実話。ソ連内政史に詳しくない日本人としては、スターリンの死後、フルシチョフの治世下で社会が少しは開放的になったのかと思っていたけれど、実際にはそんなことはなく、この映画のように強権的なデモの弾圧などもやっていたらしい。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:ヒロインはそのフルシチョフの治世下で、そこそこの地位の共産党員としてよろしくやってた方で、品不足で行列が並ぶのを横に、知り合いから食料などを優先的に分けてもらいつつ、「スターリン時代の方がよかった」とか愚痴ってたりする。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:あの頃は敵味方がはっきりしていたから、だそうで、共産党エリート層(つっても、地方自治体の書記くらいだけど)の理解としては、そんなものだったのかもしれない。フルシチョフ治世下では物価が高騰し、労働者も不平を口にするようになった、と。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:とはいえ、いきなり給料の半分カットとかされたら、そら労働者も怒るのは当然なのだが、市政チームには何の権限もないので迂闊な約束もできず、頭を抱えて事態の悪化を眺めているしかない。しまいにヤケになって、酒飲んでたりする(^^;;。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:その意味では、主人公たち市政チームは最初から最後まで傍観者で、責任追求の対象にすらならない。……まあ、事が起こったあとは、「すべて無かったこと」とされてしまうので、責任者の処罰などされるはずもないのだが。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:この映画の本番は、市庁舎前の虐殺の後処理が始まってからで、遺体や負傷者が「消える」。各所でKGBによる面談が行われ、デモ参加者や支持者と判ると、その人物も「消える」。現場の広場は再舗装されて痕跡も「消され」、事件後数日でお祭り会場と化す。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:粛々と事後処理が進む中、失踪したひとり娘を探して、ヒロインは奔走し、権威主義体制が市民に牙を剥いたその結末の地獄をその目で目撃してゆく。……。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:この映画の勘どころのひとつは、ヒロインの設定で、市政スタッフでそこそこ権限はあるものの、KGBや軍に何かを命じられるほど高位者ではないが、何もせず諦めてしまえるほど無力でなく、娘の身を案じてはいてもぎりぎりまで体制を信じてもいる。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:後半、娘の遺体を探して事態の核心に迫る段階では、焦燥する彼女に同情したKGB大佐が同行することで、より深い状況にアクセスしてゆく。まあ、この大佐の動機も、上司から「よき公安官は、弾圧対象に感情移入して理解するものだ」と諭されたからだったりするけど。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:作中で描かれる状況もエグいが、要所要所でこういうエグい視点をぶっ込んでくるので油断がならない。それにどうも、KGBがこういう市民虐殺を完全に行政手法のひとつとして、ここ以外でも日常的に使ってるみたいな話も匂わせて、辛い……。#fr22_n
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『親愛なる同志たちへ』:で、この事件自体は、冷戦終結後、ロシア政府が公式に認めて、プーチンが謝罪までしているので、この映画はインディペンデントではなく、一般公開されています。まあ、悪役をKGBに押し付けて軍は悪くないみたいな描き方は「本当か?」とか思いますけど。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年4月27日
『親愛なる同志たちへ』:監督のアンドレイ・コンチャロフスキーは、1970年代にはソ連国内で文芸映画を撮り、その後、ハリウッドに亡命して黒澤明原案の『暴走機関車』とかスタローン&カート・ラッセルの『デッドフォール』などの娯楽作品を撮り、冷戦終結後帰国。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年4月27日
『親愛なる同志たちへ』:帰国後は旧ソ連時代の旧悪を暴く映画を撮ってきて、ロシア映画界では巨匠とされる監督です(現国籍はフランス)。事件の同時代人として強いこだわりを持って作られた映画で、モノクロの画面も、画角も当時のソ連映画のスタイルに寄り添ったものとのこと。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年4月27日
『親愛なる同志たちへ』:そういう文脈で撮られた映画ではあるんですが、今まさにウクライナでまったく同じ状況を更に規模を拡大してロシア軍(なのかFSBなのか知らないけど)が遂行中なわけで、これもはからずも時代を直撃する映画となってしまいました。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年4月27日
『親愛なる同志たちへ』:こういうご時世ですので、本国で再上映とか可能なのかどうかは判りませんが、権威主義的体制の危険性を容赦なく抉り、現代そのものに繋がる映画です。まあ、都合の悪いことを隠蔽して無かったことにしたがるのは、別にロシアだけの話じゃないですしね。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年4月27日