『オフィサー・アンド・スパイ』@立川シネマシティ/CINEMA ONE(22/06/15(wed)鑑賞)
本日の映画『オフィサー・アンド・スパイ』@立川シネマシティ/CINEMA ONEに劇場入りしました。ロマン・ポランスキー監督。19世紀仏で実際に起きたスパイ冤罪事件「ドレフェス事件」のお話。ユダヤ人差別と、現代の移民差別、そしてハリウッドを追放された自身の境遇と、色々と重なる映画です。#fr22_n pic.twitter.com/7ZQUI8iQ3u
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月15日
『オフィサー・アンド・スパイ』観終わりました。スパイ活動がまだスーツや軍服姿の紳士の職業だった最後の時代、決闘制度も残る時代に起きた冤罪スパイ事件。なのだけど、軍や国家の面子を守るために、司法まで加担して正邪が転倒する有様に、この国の最近起きた疑獄事件が重なったりして。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月15日
『オフィサー・アンド・スパイ』:1894年、ユダヤ系仏陸軍大尉ドレフェスは、スパイ容疑で逮捕され、軍籍剥奪の上、終身刑を言い渡される。その余波に揺れる軍中央で新たに防諜部部長に就任したピカール中佐は、弛んでいた組織を立て直しつつ、参謀本部内に潜むスパイの洗い出しを進める。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:とある将校に標的を定め、証拠固めを進める内に、軍法会議でドレフェスの犯行を決定付けた証拠文書が、この将校のものであることを突き留める。軍法会議のやり直しと、真犯人の逮捕を求めるピカールに、しかし軍上層部は事実の隠蔽を命じる……というお話。#fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:時代は日本で言うと日露戦争開戦の頃。ようやく電話が重要施設の建物に1台あるかないか、という時代。欧州では、新興国ドイツが積極的な諜報活動を展開し、フランス当局はそれに手を焼いている状況です。#fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:とは言え、フランス側はだいぶ後手を踏んでいて、ピカールが着任した時点で、陸軍防諜部門もこじんまりとした陣容。人手のいる尾行や科学分析などはパリ警視庁に下請けに出しているような有り様で規律もだいぶ弛緩しているので、まずその締め直しから。#fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:それでも苦労しながら、地道な捜査で参謀本部内で活動するスパイを炙り出す。軍服にマント、スーツにステッキの紳士たちが、馬車で移動しながら、非合法に入手した紙資料を巡って駆け引きするこの序盤の展開は、時代劇のロマンとスリルに満ちて素敵(^^) #fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:捜査対象の監視に写真機が使われたり、筆跡分析が裁判で証拠資料として採用されたり(かなり恣意的な解釈されてたが)と、近代捜査の帷(とばり)が開きつつ、決闘が合法だったりするので不思議な感じ。この時代のエスピオナージュも意外と穴場かしら。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:そんなわけで、「真犯人」を見つけてみたものの、軍の面子と自己保身を優先させた軍上層部の高官たちは、ピカールに捜査の中止を命じ、証拠資料を破棄し、挙句の果てには証拠偽造まで行って、全力で「真犯人」を守ろうとする。……本末転倒じゃねえかorz #fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:更に、軍はピカールを逮捕・拘束するも、ドレフェスを支援する新聞メディアや文豪ゾラなどが政府批判のキャンペーンを張り、軍法会議のやり直しに追い込まれる。まあそこも、判事の証拠採用が恣意的だったり、審議の進行も軍・政府寄りになりがち。#fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:その内、証拠偽造した当人が証言直前に謎の自殺したりと、こう、どこかの国で最近起きた疑獄事件のような展開に(-o-;; まあ、あちらが腐敗国家の疑獄事件のテンプレート通りの展開をし過ぎているだけなんでしょうけども。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:歴史的事実なので、事件の結末に触れると、関係者を実名で批判する告発文を書いたゾラの裁判などを挟みながら、ドレフェス自身は1899年に大統領特赦で釈放。その後、1906年に改めて無罪判決を得て名誉回復がなされました。#fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:この事件が歴史的に重要なものとされる理由は、ドレフェスがユダヤ系であったことから、軍法会議の行方を巡って、フランス国内のユダヤ人差別とそれへの抵抗が可視化されてしまったことにあります。#fr22_n
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『オフィサー・アンド・スパイ』:軍批判キャンペーンを展開した新聞メディアなどは伝統的にユダヤ資本が強いですし、ドレフェスを支援したユダヤ系の知識人や資本家もいたことでしょう。彼らにとっては、軍という公的な機関で人種差別が横行しているというのは、悪夢でしかない。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:その一方で、そうした連携の動きは、まさしくユダヤ人差別主義者たちの妄想する陰謀論を刺激し、軍法会議の会場を差別主義者団体が取り囲むことになる。ドレフェスを裁いた判決理由は、決して人種差別によるものではない、という立て付けのはずなんですがね。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:結局、この辺の軍や政府、市井の差別主義者たちの動向への不審感が、ヨーロッパのユダヤ人によるイスラエル建国運動(シオニズム)に繋がっていったとされますが、まあ、それはまた別のお話。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:主人公のピカール自身は、積極的な人種差別者とは言えなくても、ユダヤ人への漠然とした不審感を平気で口にする人です。自らは独身でも某大臣夫人と不倫の関係にあって、決して清廉潔白というわけでもなく、後日、そこを衝かれて窮することにもなる。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:しかし、そういう男であっても、彼なりの職業倫理観に則って、不屈の精神で軍の過(あやま)ちを批判する。一方で、普遍的な正義や理念に基づくものとは違うので、後年、出世して政治家となると、その職業的立ち位置に沿った判断を行うようになる。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:まあ、本当に自分の中の意地というか、規範意識を踏み躙られたので徹底抗戦しただけなのかもしれない。矛盾しているようで、本人の中では一貫してるのか。その意味では、きわめて自己中心的な男と言えるのかも。そこも含めて、人間臭い人物、ということです。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:ちなみに監督のロマン・ポランスキーは、フランス映画出身でハリウッドで『チャイナ・タウン』とか撮ってブイブイ言わせてたら、未成年者に手を出した疑惑で追放喰らって、以後、ヨーロッパ中心で活躍してる人。近いとこだと『戦場のピアニスト』の監督さん。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:あと、タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でもあるように、ハリウッド時代に若い奥さんを暴漢に殺されてるんですよね。……つーか、当事者存命の内に、あんな映画撮ったのか、タランティーノ(-o-;; #fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:あと脚本のロバート・ハリスで、誰だっけと思ったら、ドイツ戦勝後のベルリンで刑事が隠蔽されたユダヤ虐殺を追う『ファーザー・ランド』の原作の人か!序盤のエスピオナージュ・パートのスリリングさは、その辺から来てるのかな。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日
『オフィサー・アンド・スパイ』:信念を枉(ま)げなかった男の話……というか、厄介な状況下に、たまたまくそ厄介な人物が出喰わした結果、社会の断層が顔を覗かせ、歴史を変える遠因になったお話というか。時代ロマン的な語り口で、現代社会の断層とも繋がる映画でした。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年6月20日