『ヘアピン・サーカス』@ラピュタ阿佐ヶ谷(19/12/20(fri)鑑賞)
ヘアピン・サーカス ( Hairpin Circus ) Trailer
Circus(Theme from HAIRPIN CIRCUS)
本日の映画『ヘアピン・サーカス』@ラピュタ阿佐ヶ谷に劇場入りしました。1972年公開。五木寛之の短編をベースに、元レーサーの自動車教習所員と、教え子の走り屋娘との命をかけたスピードレースを描くお話。主演の見崎清志以下、当時の現役レーサーが大勢出てる映画なんだそうですが、さて。#fr19_n pic.twitter.com/OOSGmzaaIJ
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』観終わりました。全編カーチェイス……してはいないのだけど、7〜8割のシーンは何かしら理由こじつけて車輌が映り込んでいるという意味で、まごうことなき自動車映画。レーサー出身という主人公は見事な棒なんだけど、まあその意味じゃ別に「主役」じゃないしな(^^;; #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』:事故で引退した元レーサーで今は自動車教習所の教官をしている主人公は、かつての生徒だった裕福な医者の娘である不良少女が、夜の首都高で、不良仲間と集団で車輌をカーブに誘って事故に追い込む「ヘアピン・サーカス」と称する危険なゲームを重ねていることを知る。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』:主人公の注意も聞かず犠牲者は増え続け、遂に知人から借りたモンスター・マシンで「ヘアピン・サーカス」狩りに乗り出すが……というお話。建前はね(^^;; 物語表層のそんなストーリーとは別に、ヒロインが固い主人公を公道レースという悪徳の世界に誘う話でもある。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』:作中で、ヒロインは主人公をヘアピン・サーカスの夜の首都高バトルに誘い、ドラッグ・パーティーに誘い、しまいには「キスして」と告げるも、尽く相手にされない。とは言え、のこのこその場にいる時点で、主人公はすでに半分落ちてるようなもんだけど(^^;; #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』:そんなわけで、この映画はオッサン主人公(妻子有り)が美少女に誘惑され、散々もったいつけた挙句、とうとうデレてヒロインが望む首都高バトルの世界に引きずり出される話でもある。クライマックスの首都高バトルにも、警察は介入せず、一般車輌もどんどん少なくなる。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』:首都高では、トヨタ2000GTを駆る姫(ヒロイン)の周囲を、不良仲間の車輌3台、バイク1台が騎士の如く護ってる。それを主人公が1台づつ狩り「撃墜」する。やがて主人公とヒロインだけとなり、エンジン音も遠く、公共空間であるはずの路上はふたりだけの世界となる。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』:…セカイ系?(^^;; まあ主人公は「出撃」前に身繕いとかして、妻子を後にいそいそとウチを出てくとこからして、クライマックスの首都高バトルは、「不倫」な性愛のメタファーですよね。シンプルな表層の物語に裏の意味を込め、カーチェイス映画のフレームにしている。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月20日
『ヘアピン・サーカス』:セカイ系的なのは、その車輌描写にも言えて、せっかく本物のレーサーを揃えてるのに、ドライビング・テクニックの説明とか、車輌整備の話とか一切ないのな(爆 公道レースを客観視するギャラリーもいない。主人公は発進前に、車体一周して車輌チェックはするけど(^^;; #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:公共空間であるはずの首都高や深夜の都市空間で、究極の「個室」であるモンスターマシンの運転席に籠もるふたりの男女が、睦み合うように高速でぶっ飛ばす。都市の景観も、エンジン音も、何もかもが遠景として流れ去る。そして涯(はて)に…というロマンス映画(^^;; #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:まあでも、考えて見れば、レース(カーチェイス)を客観視する手法が、この時代にどれだけ育っていたか、ちょっと難しい。そういやイタリア映画で実戦前に、サーキットでコーナリングの特訓する警官の映画があったかな。時代的にも、主観描写に向かわざる得ないのか。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:しかしまあ、よく撮影許可が下りた(下りてないんじゃないか(^^;;)なという夜の首都高の照明下で、ヒロインの駆る黄色いトヨタ2000GTのグラマラスな車体が疾駆する官能性は素晴らしく、その意味では完璧。まあトヨタ2000GTをエロく撮ろうという映画も限られるか。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:人間の芝居部分としては、主人公が本職の役者じゃないことを逆手にとって、感情の薄い芝居をやらせつつ、また説明も最小限で済ませている。知人から車借りるシーンも描写は、自動車整備会社を訪ねる→知人らしい男性から車のキーを受け取る→発進くらいだからね。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:ヒロインは自分たちの行動を正当化する言葉を饒舌に重ねて、主人公を「口説く」けれど、表情の薄い主人公は聞いてるんだか聞いていないんだかよく判らない。まあ、表面的には嫌がってるんだろうけど、その場から自分で立ち去るわけでもないし。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:結局、その辺の齟齬が孕む矛盾のすべてがクライマックスの首都高バトルでの、車輌の過剰な官能性として溢れ出す。そういう構造の映画なのかな、というのが、「感情」の導線から観たこの映画の感想ですね。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:そういった難しいことを考えなくても、今やクラッシックカー扱いになるような1970年代初頭のスポーツカーや当時の首都高の景観、主人公の回想シーンでは当時のモナコGPのシーンもある。そういう意味では車好きには見所の多い映画です。機会がありましたら是非。#fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
『ヘアピン・サーカス』:あ、そうそう。この映画、菊地雅章のジャジーな劇盤も超サイコーなので、それ単体でもイケる出来です。CDが入手可能みたいですから、車に興味ない方にも、是非(^^) #fr19_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2019年12月21日
■監督フィルモグラフィ:西村潔(1932年~1993年)