『追龍』@新宿武蔵野館(20/08/01(sat)鑑賞)
本日の映画3本目『追龍』@新宿武蔵野館に劇場入りしました。1960年代香港。黒社会のヤクザ(ドニー・イェン)と警察署長(アンディ・ラウ)が手を組んでそれぞれのし上がる黒社会&警察もののノワール。そこに昨今の香港情勢の空気感を絡めてくるのか、こないのか……さて。#fr20_n pic.twitter.com/UQ1z3g5INk
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』観終わりました。ヤクザと警察官の内通もの……くらいに思ってたら、幹部級のキャリア警察官が香港の黒社会を実質管理してて、その手駒のドニー・イェンも大人しく飼われてるわけではないという(^^;; それで「悪いのは英国人」という結論に持ってくのは、香港というより本土の意向か。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:基本構造として、英国による香港支配の裏面として、警察を介して黒社会も間接統治してて、キャリア警察官のアンディ・ラウはその警察側代理人。ヤクザたちのショバの割振りや、ヤクザが力を持ち過ぎれば「間引き」もする。なので、「友情」と言っても一筋縄ではいかない。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:1960年代の香港なら、当然いたはずの国民党軍残党系の14Kとか、その他の怪しげな人士が影も形もいらっしゃらないので、香港黒社会史としては話半分くらいに見といた方がいいのでしょう。北京に繋がる組織だってあったろうにねえ(^^;; まあだいぶ判りやすく整理された話ということで。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:そんなわけで、警察官僚のアンディ・ラウとヤクザのドニー・イェンは、互いに利用しつつ、出し抜き合いつつ、脅して牽制し、裏切って命を奪おうとしたり、いざとなれば肩を並べて戦って、身を挺して守り合う。男盛りの名優ふたりで、男の関係性、全部盛りですわ(^^;; #fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:その一方で、ドニー・イェンはチンピラ時代に英国人警察幹部を乱闘の中でボコって因縁がついて以来、人生の要所要所で、英国人やその支配構造によって大切なものを奪われてゆく。その憎悪は、やがて因縁の英国人警察幹部へと集約してゆく。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:そこら辺の民族ナショナリズム高揚に繋げてくのは、最近の香港映画でよく観る構図です。香港人がそれを望んでいるというより、本土の映画にかける時に受けがいいからでしょう。観客になのか、当局になのか知りませんが。オープニングのタイトル見る限り、本土資本入ってそうだし。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:ともあれ、アンディ・ラウが健在な内は抑えが効いてるんだけど、70年代に入って香港行政府内での腐敗追放の煽りを喰らって失脚。それまでにライバル組織もだいぶ片付いてしまっていたので、歯止めが効かなくなり、因縁の英国人警察幹部との衝突コースに突っ込んでゆく。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:この辺は、英国の香港支配の方針が転換して、その煽りってことなんだろうけど、何でこのタイミングで腐敗追放をやり始めたのか、は特に本編で言及されていないので、ちょっとよく判らない。まあこの辺の動きがあればこその、その後の香港の国際金融センター化なんだろうけど。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月1日
『追龍』:ああそうか。1970年代の香港政庁の腐敗浄化は、71年のニクソン・ショックと関連付けて捉えるべきなのか。これも本編中では言及ないけど、表の世界の政治的激動が、裏社会にも影響がないわけがない。が、この映画ではあくまで、民族資本ならぬ民族黒社会の勃興と挫折として語られる。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月2日
『追龍』:そこは1960年代香港黒社会が本来持っていた多様性や物語的な豊かさの可能性を殺してしまっているんじゃないか、とは思うものの、判りやすいは判りやすい。でも北京の香港支配が進むと、こういう黒社会史の書き換えも進んでくんでしょうね。それを香港の人はどう思ってるんだろう。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月2日
『追龍』:ともあれ、アンディ・ラウの失脚で止める者のいなくなったドニー・イェンは、なりふり構わず英国人警察幹部の襲撃に突っ走る。いよいよそいつを追い詰めた時のドニー・イェンの表情は、これまで見たこともない凄まじい鬼の形相で、ファンならばこれだけでこの映画に5億点出せる(^^) #fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月2日
『追龍』:ドニー・イェンがワルを演(や)る……というのが本作の見どころではあり、特に途中で片脚を潰されてからはアクションに制限が加えられる(まあそれでも暴れるけど(^^;;)。得意の武器をあえて封じて、黒社会で立身出世を果たしつつ、仲間たちを喪って孤独になってゆく男の哀しさに挑む。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月2日
『追龍』:とは言え、暴力や女の扱いで、共感できないくらいのどクズ野郎というわけでもないけど(^^;;、まあ新境地ではあるよね。アンディ・ラウとの愛憎半ばする関係性も併せて、そこは良かったですね。ドニー・イェン兄貴のファンとしては観ておくべき映画ではあると思います。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月2日
『追龍』:同時に、任侠や暗黒街の物語は、その土地に住む人々の民間伝承(フォークロア)の際たるものであって、多少の美化や整理はあるにしても、他所の土地の中央政権なんかの意向に沿って捻じ曲げていいものか、という懸念はあるんだよな。香港映画人の挟侍とか、本当に大丈夫なのかしら。#fr20_n
— 義忠@C98月曜 南ウ40「物語工房」 (@yoshitada_n) 2020年8月2日