『ハケンアニメ』@立川シネマシティ/CINEMA ONE(22/05/25(wed)鑑賞)
本日の映画『ハケンアニメ』@立川シネマシティ/CINEMA ONEに劇場入りしました。辻村深月原作、吉岡里帆&中村倫也主演。タイトルは「覇権アニメ」の意で、決して派遣社員のが作ったアニメの話ではありません(^^;; まあアニメ界隈での「覇権」という言葉もちょっと古くなりましたけどね。#fr22_n pic.twitter.com/OnzhnXp54k
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月25日
『ハケンアニメ』観終わりました。原作刊行から、シーンの様相が変化して作中の表現や状況がちょっと古くなってる…というのは事実だけど、にも関わらず本作が強い普遍性を持つのは、クリエイターの宿業ともいうべき「届け」という想いで全カット前作台詞で研ぎ澄まされているからだと思う。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月25日
『ハケンアニメ』:今期土曜夕方5時放送のアニメ枠に決まったのは、地方公務員出身の新人監督・斎藤瞳(吉岡里帆)と、天才と名高い監督・王子千晴(中村倫也)の両番組。放送開始前から対立関係を煽られた挙句、番宣の対談イベントでテンパった瞳が打倒宣言まで口走って、業界騒然の話題となる。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:しかし、新人監督の瞳は、プロデューサーに番宣企画にばかり引きずり廻されて制作作業に打ち込めないことや、異例の抜擢に実力が伴っていないと陰口を叩かれていることなどに苛立っていた。一方、クセの強い天才肌の王子に担当プロデューサーは振り廻される。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:やがて、番組第一話の放送日を迎え、両番組の1クール3ヶ月に渡る今期ハケンアニメの座を競う戦いが幕を開ける。両番組の制作陣や、放送局、視聴者たちを捲き込んだレースの行方は……というお話。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:最悪生放送まで可能なドラマならともかく、1話作るのに3ヶ月くらいかかるアニメで、1クールアニメが放送開始後にやれることあまりなくない?……という身も蓋もないツッコミもまあ、なくはないんですが(^^;; 実際には収録台詞弄ったり、編集で何かできるか、くらいかな。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:これに限らず、原作刊行からのシーンの変化(収益構造が円盤売上より配信に移行)により、それを言い出すとプロットの前提から見直さないといけない要素がいっぱいあります。ただそれは、アニメ業界が今も日々、激動の変化に晒されている業界であるから、でもあるんですよね。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:なのでどの一瞬を捉えても、すぐに状況は過去のものとなってしまう可能性はあり、そうであれば、無理にリアルに寄り添うより、いろいろ判りやすく状況や設定を整理した「寓話」として組み立ててしまうのはアリだと思います。本作はそういう映画です。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:で、そうまでして本作は何を語りたいのか。クリエイターたちがどんなに迷走し、悩み、苦しんでも、最後に拠り所にするのは「届け」という想いの純粋さにある、ということ。映画を観終わって振り替えると、全カット全セリフがそこに向けて研ぎ澄まされていることが判ります。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:序盤、番宣取材に振り廻されて疲弊してゆく主人公の若手女性監督・瞳が、それでも憧れの天才監督・王子に会えると緊張しつつも壇上に上がった対談イベントで、その王子が口を開くや、創作以外に関心のない「天才」でしか吐けないトーンとセリフを口にする。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:「創作」というか、更にいえば、「表現」で人を殴ることでしかコミュニケーション手段を知らない奴。四六時中、「オリジナル」とは何かで脳内を埋め尽くしてるんで、こういう場で口を開いても、こんな聴く者を殴りつけるような言葉になる。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:いるいる、こういう厄介な「天才」(^^;; 同時にこの瞬間、バチンとフィルムに電流が走るんですね。これは演じる中村倫也の演技力もあるし、ひとつひとつの台詞の強度が違う。どこかから借りてきた言葉じゃなく、この瞬間この人物の魂から吐き出されたような力強さがある。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:それがこの後、ここぞという所で、この研ぎ澄まされた言葉の力をもってズバンと決めてくる。これが原作時点からなのか、脚本の力なのか。少なくとも、その力を殺すことなく観客に届けた演者と演出の力量は間違いないでしょう。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:特に先の対談イベントとクライマックスの最終話コンテ会議のシーンは凄かった。それに比べれば、業界描写が実態と多少ズレていようが、大した問題ではありません。その力ある台詞の数々が、すべて「届け」という想いに収斂してゆく。#fr22_n
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『ハケンアニメ』:あらゆる表現者の根源的な願いであるその言葉の強さと、それを根幹に組み込まれた物語構造の美しさがあるので、自分の中では高評価で固まっています。まあ、それでも瑕疵はあるし、こうして欲しかった所などはありますけどね。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:以下は、そうした作品としての高評価がまずあることを認めた上で、あえての注文ですが、先に触れたように放送開始後の1クールアニメにやれることが限られてるのだから、そこは逃げずにその状況を打破するミラクルを見せて欲しかった。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:大規模リテイクが発生した際の対応も、社内作画班や外部スタジオに昭和じみた人情論で協力を仰ぐとかではなく、工程のドラスティックな見直しや、海外アニメーターをSNSで一本釣りするなど、人間力などではなく、マネジメントの力を見せて欲しかった。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:これも原作刊行から2022年の現時点までに変化した時代の空気感だけど、制作現場の過重労働について、それが(実写を含めて)制作現場の現実であっても、批判的な視座は欲しかった。ほんの数年にも関わらず、原作の枠組みが古くなってしまった部分ですね。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:……とまあ、欲を言えばきりはないのだけど、それがないことで作品の骨格の美しさ、力強さが揺らぐわけではない。ここまで作品と時代とのズレを指摘しておきながら何ですが、半世紀後にはその辺の機微が判る人もいなくなって、残るのはその骨格の美しさです。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日
『ハケンアニメ』:その意味で本作は、2022年の今年の映画として遺すべき、力のある映画であると思います。公開第2週に入る明日からは、上映回数も減ってしまうようですが、是非、劇場で観て欲しいですね。#fr22_n
— 義忠@C99金曜 東ウ28「物語工房」 (@yoshitada_n) 2022年5月26日