積読日記

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2019年:今年のベスト映画10本(外国映画部門)

今年は年初から転職を考えてたこともあって、結局、邦画洋画新旧重複合わせて例年より少なく310本(仮)鑑賞(BD/配信/TVで鑑賞したものは除く。あと大晦日までもうちょっと増える(^^;;)に留めたんですが、家電やらPCやら自転車やらメガネやら、とやたらと壊れて買い直す羽目になって、あんまり節約になってない……orz

まあそれはともかく、そんなわけで色々取りこぼしも多いんですが、その中からベスト映画(外国映画部門)10本はこちら……。

 
 ※順番は鑑賞順です。

 


特捜部Q カルテ番号64

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特捜部Q カルテ番号64 [DVD]

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特捜部Q カルテ番号64(字幕版)

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特捜部Q カルテ番号64(吹替版)

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特捜部Q ―カルテ番号64―

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  • 『BUYBUST/バイバスト』(フィリピン)


BUYBUST/バイバスト

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BUYBUST/バイバスト [DVD]

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BUYBUST/バイバスト(字幕版)

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BUYBUST/バイバスト(吹替版)

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2/22(金) 公開 『THE GUILTY/ギルティ』予告編

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THE GUILTY ギルティ[Blu-ray]

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THE GUILTY/ギルティ(字幕版)

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THE GUILTY/ギルティ(吹替版)

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  • 『トリプル・スレット』(タイ・中国・米国合作)


『トリプル・スレット』予告

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トリプル・スレット[Blu-ray]

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トリプル・スレット(字幕版)

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トリプル・スレット(吹替版)

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  • 『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』(フランス・デンマーク合作)


『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』日本語字幕予告編

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  • 『羅小黒戦記』(中国)


<羅小黒戦記>日本予告編

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  •  『ジョーカー』(米国)


映画『ジョーカー』本予告【HD】2019年10月4日(金)公開

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ジョーカー(字幕版)

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ジョーカー(吹替版)

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Netflix | ジョーカー

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  • 『王宮の夜鬼』(韓国)


朝鮮時代に発生した感染爆発!9/20公開『王宮の夜鬼 (やき) 』【本予告】

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王宮の夜鬼(字幕版) 

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  • 発売日: 2020/01/15
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王宮の夜鬼(吹替版) 

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  • 発売日: 2020/01/15
  • メディア: Prime Video
 
  • ガリーボーイ』(インド)


『ガリーボーイ』予告編

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ガリーボーイ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
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ガリーボーイ (字幕版)

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  • T-34 レジェンド・オブ・ウォー』(ロシア)


『T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版』

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 えー、『アベンジャーズ』とか『スパイダーマン』とか『ゴジラ』の新作とか、鳴り物入りの大作が軒並みリストから抜けてますが、そういう余所でも上がってるようなヤツはいいんです。

まあ、『スパイダーマン スパイダーバース』はギリギリまでどうするか悩みましたが、アニメ映画枠これ以上増やしても……という判断で泣く泣く落としました。でも色々革新的な映画なので、観てない人は機会があったら観てね。

しかし、そうなると純ハリウッド作品は今年も『ジョーカー』1本か……。

やー、『ハンターキラー 潜航せよ』とか、『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』とかも良かったけどさー。そのクラスのメジャー作品はウチでわざわざ取り上げなくても「普通に面白い」でいいじゃん、的な枠に落ちがちで。


その『ジョーカー』の話。

ここ何年も、世界の映画賞などで評価ポイントとされる貧困や格差、不可視化された人々(インビジブル・ピープル)と言ったテーマ性にピタリと嵌まる作品なので、そら欧州の映画人の評価高いよね、という話なんですが、しかしそれに全世界での興収実績がついてきたのが、凄いというか、話がより深刻と言うか。

またそれをDCのキャラクター映画の枠内に落とし込み、同時に危ういテーマを尻尾を掴ませずにやりきった手腕は見事という他ないし、何と言っても、主演のホアキン・フェニックスの存在感は圧巻でした。

スクリーン上で、ここまで次に何をやらかすか目を離せない役者というのも久しぶりです。

今年のハリウッド映画を代表する作品には、この映画を挙げざる得ないでしょうね。


で、それ以外では、今年は年頭の『特捜部Q カルテ番号64』を筆頭に、北欧勢が強かった。

『特捜部Q カルテ番号64』はデンマークのベストセラー小説のシリーズ第4弾。シリーズものとして脂の乗りきった筆致で、自国の歴史の暗部とそこから繋がる現代社会の軋みに果敢に挑むその姿勢が素晴らしい。

『THE GUILTY ギルティ』もデンマークのワンシチュエーション・ミステリー。舞台は警察の緊急通報指令室のみ、後は電話の向こうとの会話のみでお話は進み、映像的に制約されながらも、ミステリーとして観客を振り廻す手際は見事でした。

しかもこれで、『ボーダー 二つの世界』とか、観落としてるんだよなあ……。


(一応、制作にデンマーク入ってるんで(^^;;) ここに入れちゃっていいのかな。

『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』は、実際の制作年は2015年で、映画祭などでは上映されていましたが、日本では今年ようやく正式公開。監督が東映アニメやジブリをリスペクトしているとは伝え聞くものの、作品のテーマや個々の表現は、間違いなく彼らオリジナルのもの。それを表現する「絵筆」として、日本アニメ的な表現が選ばれたと見るべきでしょう。日本人として、誇るなら、それを誇る時代になってきている。

それは、そのまま海外アニメ枠繋がりで挙げた『羅小黒戦記』でも言えるんですが、こちらは『NARUTO』のアクションをリスペクトしつつ、武侠小説の本場の意地と今の中国本土の観客のセンスを反映した、中国アニメの最前線に触れられる映画です。

……いや、「最前線」つーか、本国公開から僅か1〜2週遅れくらいで日本公開だからね(^^;; 客層や公開規模から考えると在日中国人向けっぽく、一種の本国向けパブリシティでもあったのかな。実は在日インド人向けに、最新インド映画を英語字幕版で定期上映している団体とかもあるので、日本社会の多様性が深まると、こういう公開形態も広まるのかもしれません。


インド映画と言えば、新宿ピカデリーで新作の公開本数が増えたり、全般に身近になってきたようにも思えるんですが、年に一度のインド映画のお祭りIFFJがいつの間にかIMWとなって、渋谷から大森に移動してしまったので、自分の生活圏から遠くなってしまって通えない……orz

まあ一部は12月に新宿ピカデリーでもやってくれたんですけど、職場変わっちゃったので、平日新宿で18時台スタートの映画は行きづらくて。

そんなインド映画ですが、去年の『バーフバリ』ほどの爆発力はないものの、音楽系(同時にインドのイスラム・コミュニティものでもある)として『シークレット・スーパースター』と『ガリーボーイ』が今年公開。ここでは、『ガリーボーイ』の方をリストに入れましたが、インド映画の得意の音楽性を活かすジャンルでもあります。まあ、どっちもダンスは少な目でしたけど(^^;;

それと両作は、どちらもインド社会で比較的に後進性の強いイスラム・コミュニティから、芸能の力で抜け出すという構造なのは偶然ではなくて、他の経路(パス)がないか、あっても弱いってのは、あるのかな……。

芸能もの繋がりでは『SANJU/サンジュ』も良かったな、ボンクラ芸能2世のはちゃめちゃな成長譚で(^^)

それとインド映画については、リストには挙げなかった『バジュランギおじさんと、小さな迷子』で、隣国パキスタンとの和解をテーマにしていましたが、その印パ関係が悪化した一年でもあって、制作スタッフや俳優の交流も深い映画界もその影響を受けるのか。ここも政治対立は深まりつつ、着実に交流を深めている日韓の映画界の姿なんかも重なるわけで、他人事ではないですね。


中国映画は、アニメ枠で『羅小黒戦記』を入れましたが、それ以外は『トリプル・スレット』!(合作だけど)

やー、後の香港情勢を見据えていたかのように、これでもかとばかりに国民党による市民弾圧の場面を盛り込んでたジョン・ウーの歴史大河ドラマ『The Crossing-ザ・クロッシング』2部作とか、ありましたけどねー。

でも、トニー・ジャー、イコ・ウワイス、タイガー・チェンの三カ国のアクション・スター揃い踏みの絵面観せられたら、もう堪りません。各ヒーローのキレキレの技の応酬を観て!

しかし、旬な海外のアクション・スターを連れてきて、オール海外ロケでサイコーな娯楽映画をしれっと撮ってしまう中国映画の懐の深さは、バカにできないですよ。邦画は元より、韓国映画も一時やってたけどやめちゃったしね(完全なローカライズ企画に切り替えた)。

後は『帰れない二人』を観れてれば、ここに入れてたかもしれませんが、結局、年内に観れなかったもんなあ……。


で、韓国映画も全般に見応えはあったんですが、ここでは『王宮の夜鬼』を挙げておきます。

いや、そこは『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』だろう、というご意見もお有りでしょう。しかし、ウチはエンタメ色の強いジャンル映画を選ぶ傾向があるのでこうなりました。この作品は、よそでも順当に挙がってるでしょうし。

その意味では『毒戦 BELIEVER』をぎりぎりまで残すか迷ったんですが、今年は北欧勢に枠を取られてしまいまして……。

そんなわけで今年の韓国代表は『王宮の夜鬼』。華麗なるゾンビ宮廷時代劇(爆 色モノじゃねえか、と侮るなかれ。これがしっくり嵌って面白い。むしろジャンル映画としてのフォーマットが固まってると、異物を入れても揺るがない。そこは、邦画でも『屍人荘の殺人』でやってますが、そこを証明してくれた意義を認めてランクイン。別にゾンビ映画好きだからじゃないです(^^;;

後はマ・ドンソク兄貴の話。日本では一昨年の『新感染 ファイナル・エクスプレス』で認知された、韓国を代表する愛すべき筋肉俳優の彼の今年の公開作品は、よくも悪くも小規模な作品が多かった印象(『神と共に 第二章 因と縁』はバジェットは大作だったけど、彼が主役ってわけでもないし)。まあ、あの辺のお手軽な低予算作品の兄貴も嫌いじゃないですけどね。来年はMCUへの参戦や、今のところの代表作とされる『悪人伝』の公開も控えてるんで、ベストテンにも喰い込んでくれるか。

それ以外の韓国映画は、都市型クライミング脱出アクション『EXIT』など、全般に色々アイデア豊富で飽きさせない作品が多く、今年も安定して面白かったですね。


その他の国の映画としては、イタリア映画の嫌ぁんなスモール・ノワール『ドックマン』とかもあったんですが、ここはまずフィリピン映画『BUYBUST/バイバスト』!

マニラ近郊の雨のスラム街で、警察特殊部隊が闘って、闘って、闘い抜く一夜のお話。廃ビル内を垂直に闘ってゆくインドネシア映画『ザ・レイド』に対して、横方向に広がる迷路のようなスラム街にバトルが展開し、ナタとか包丁持った地元住民が、次々に襲ってくるわけですよ。ちょー最高じゃないですか。え、違う? あれ……?

ともあれ、DVDだけでなく、ネトフリで配信もやってるようなので、是非是非。

フィリピン自体は映画の歴史もそれなりにある国で、人口も一億を突破し、GDPも増加中。人口動態も若い国ですから、アクションやミステリーの需要は、まだまだ伸び代があります。来年もどんな映画が飛び出してくるか、楽しみですよね。


最後に戦車映画(爆。

……いや、ロシア映画。つか、ジャンル映画扱いできるほど、年中戦車の映画撮ってるのはロシア人だけなので、戦車映画の新作というと7〜8割の確率でロシア映画になっちゃうわけですがw

そんなロシアの戦車映画を今年は2本観て、最初に観たのが『タンク・ソルジャー 重戦車KV-1』でそちらは酷いご都合主義とメロドラマで、お前、戦車さえ出せば何でも許すと思うなよ、許すけど。……と言う出来で(結局、許すのか(^^;;)。しかも実話ベースてお前。

穴だらけのプロットと甘ったるいロマンス(整備班長が戦車長の元嫁で、戦場でラブコメしてる。これも実話だそうで)を、大量の実稼働戦車の履帯で踏み潰してゆく映画だったわけです。

一方、『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』は各方面絶賛の戦車映画で、1965年公開の『鬼戦車T34』のリメイク……と言うか、元ネタは同じ実話エピソードらしいんですが、あちらが反戦映画を思わせる悲壮なお話に対して、こちらは痛快戦車大脱走映画に仕上がってます。

こっちも結構プロットに穴はあるんですが、全体通して観客が「ここで欲しい」と思った絵や展開をそのタイミングで裏切らずに提供してくれるんで心地よいんですよね。CG盛り盛りだけど(^^;;

この辺は、ロシアのクリエイターも、もはやユニバーサルなものとなった西側の映像文法に従った作品を作れるようになった、と言うことを意味しています。日本アニメの作風がユニバーサル化して、世界各地で日本アニメ風の長編アニメ映画が作られるようになっている状況と重なります。

ともあれ、1本の優れた作品の成功の背後には、大量のトンチキ映画が戦場に擱座している……というか、その犠牲あってこその1本の成功という逆スタージョンの法則は、ここでも有効だということです。

……いや、ジャンル映画化するほど大量に戦車映画なんか撮ってるのは、ロシア人だけだけどもな(爆


そんな2019年だったわけですが、総括するとエンタメのメソッドの国際共通規格(ユニバーサル)化が一層進み、大国小国関係なく、フラットな評価軸で殴り合う状況がより明確になってきたように思います。

それを踏まえて、各国それぞれどう特色を出してゆくか。同時に個々のクリエイターは国家や言語を軽やかに越えて、連携し、協力し、影響を与え合うことで、そこから何が出てくるか、まったく予想がつかない。

そういう時代をワクワクする「表現解放の時代」と取るか、世界が単一の価値観に塗り潰される「閉塞の時代」と取るか……いずれにせよ、時代の変わり目で心構えを固める一年であったように思います。


さて来年は、どんな映画に出会えるんでしょうね。